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悪魔がウチにおりまして・540

ウチにはクマがいる。

心臓に悪いからいきなりいないで欲しい。


「くまー」

冷静に考えたら、クマはこう鳴かない気がする。

「いきなりどうしたの?冬眠明け?」

今更ここに変な生物が来たところで動じないけれど、さすがにクマはいけない。

猟友会に連絡されたらたまったものではない。

「くまくま」

クマは頷きながら両手を差し出す。

この行動でさすが悪魔の知り合いと納得してしまう。

「ご飯?アンタ何食べるの?」

一般的なクマが食べるものってハチミツと鮭のイメージ。

だいぶ偏っている気もするけど仕方ありません。

「くまくま」

クマは両手を何か握るような動きをしているコイツ、実は頭良い?

「……おにぎり?具は?」

クマ、バンザイ。どうやらおにぎりで正解。

しかし、中身を説明はできまい!イジワルではありません、さすがに塩むすびで満足するわけじゃないでしょ?

クマ、頭を抱えている。さすがにどう表現したらいいのか悩んでいるようだ。

すると手をポンと叩く。

悪魔の部屋からペンとスケッチブックを持ってきた。なぜ場所を知っている。

クマは床にスケッチブックを置いてお絵かきを始める。

「何描いてるの?」

「ふしゃー!」

クマ、威嚇。絵を描いている最中に見られるのはダメらしい。

「わかったわよ、それなら早く描いてね」

幸い今日は時間があるとはいえ、これからアンタのおにぎり作るんだから。

「くまっ!くーまっ!」

お絵かき完了したクマはこちらにスケッチブックを見せる。そこには立派な明太子が描かれていた。

複数あるツッコミどころは無視、でも明太子あったかな?

「もしなかったらたらこでも良い?」

クマは腕を組んで頷く。

冷蔵庫を探すと無事明太子があったので残ったご飯でおにぎりを作る。

クマのサイズ的に小さめに作って問題ないだろう。

「クマー、ノリはー?」

「いらんくまー」

……空耳と信じてます。

白いおにぎりをクマに渡すと頭を下げて手を振ってクローゼットに帰って行った。


「クマちゃん来たですかー」

「なんか、アンタに行動似てるね」

「いとこですからねー」

……ツッコミは、入れませんよ?

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