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悪魔がウチにおりまして・538

ウチには悪魔がいる。

なかなか起きてこない悪魔が。


ウチにいる悪魔は寒さに弱い。

そのため冬の時期はしっかりと寒さ対策して寝ていたのだが、最近は気温も上がった。

そのためだろうか、服を重ねることも無く寝ているのだが、そのせいでゆっくり寝ていることが増えたのだ。

「悪魔ー、ご飯片付けちゃうよー」

問題は、起きてくるのが遅すぎて私の出勤に間に合わないこと。

みんな働いているんだからタイスケは合わせて欲しいものである。

……クモは、働いているのだろうか。

ちらりとクモを見ると唐草模様の風呂敷を背負っていたのでたぶん仕事。

クモは心配そうに私の足元に寄ってきて悪魔の部屋と私の顔を見比べる。

「蜘蛛からも言ってあげて、ご飯無くなるよーって」

クモが話せないことは知っている、それでも言うだけはタダである。

クモは私の言葉を受けて少し考えたように首を傾げる。

何か思いついたように前の脚をポンっと叩いた。

とんとんとんここっとんこここっことんこっとんこっこっとんこっとんとんこっとんこっ。

「ニンゲン!?もう少し待つですー!」

アンタら、今何をした!?

まぁ、出てきてくれるなら良いんだけどね。おっと、時間が。

「じゃ、ご飯置いておくから。行ってきます」


ニンゲンはどうやら出かけてしまったようです。

こんなに暖かい日が続いているのに早起きなんて拷問です。

春は揚げ物という言葉を知らないのですか。

あれ、なんか違う気がします。

部屋から出るとクモちゃんが扉の前で座ってます。

「教えてくれたのはクモちゃんでしたか、ありがとです」

ボクを見るとクモちゃんはそのまま出かけていきました。

さてさて今日の朝ご飯は……テーブルの上には食パンとトースター。

ニンゲン、コレは別に時間関係なくないです?

まだバター残ってましたっけ?

踏み台を持ってきて冷蔵庫の中のバターを……やりました、イチゴジャムも残ってます。

トースターを温めて……パンは厚い方でしたか。

それならピザトーストにすればよかったです。

こんがりとパンを焼いて……うぱちゃんとナニカが焼けるパンを待ってます。

「バター塗りますか?」

うぱちゃん、首振ってます。たぶんジャム派ですね。

ちぎって、ジャムだけ塗って。

……近いです、そのままで良いですか。

ナニカなんて無いのです、いないのです。


ニンゲンも慌ただしいのですね……おや、紙が?

『今夜の分を残しておいてください』

……スーパーに行けば大丈夫、のはずです。

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