悪魔がウチにおりまして・529
「さて皆さん、今宵はお集り下さりありがとうございます。あなたのハートに巻き角でおなじみの羊です」
なんか始まったけど?
「羊さん、ここボクらの家です」
「なぜこの場所に、そうお思いでしょう」
おう、無視するパターンか。
「神ちゃんに電話します?します?」
「ミミ君!このあとゲストが居ますので!」
悪魔は取り出したスマホをしまう。
「コホン。この場所は実に不思議です。現実と虚構が入り混じる……」
羊ー、悪魔飽きちゃったよー。
「羊さーん、長いなら帰りますよー?」
どこからともなく牛の声。ゲストってもしかして、牛?
「牛さん、もう少し待ってくださいー。あのですね、今回ナゾ解きをみんなでやりたくてですね」
それならカフェとかあるでしょ、その方がみんな楽しめるんじゃ?
「ほら、小説のネタ集めに……ミミ君!自分の行動が小説の助けになるのです!アツくないですか!」
こっちの世界で小説を出してることを隠すこともしなくなった羊、その熱心なファンの悪魔はこの提案に当然……。
「やです」
断った、だと!?
羊も予想外だったようで目を丸くしている。
「ミミ君、なぜですか!ある意味小説に参加できるのですよ!」
「羊さん、ファン心理をわかってないですね……ファンは!書きたいのではなく!読みたいのです!」
ででーん!妙な擬音が響き渡る!クモ、スマホを構えている!
「あのー、帰って良いですかー」
牛、もう帰って良いんじゃない?
「ダメです!かくなる上は……」
『上は?』
悪魔とハモって羊の言葉を待つともじもじとし始める。
「……何も考えてません。ミミ君なら2も無く3も無く飛びつくものと……」
「羊さん!甘い、フラペチーノより甘いのです!」
あれより甘いってなかなかよ?
「羊さん、ボクはあなたの書くお話が好きです。……こんなことをしなくても、あなたの小説を嫌いになりませんよ……」
なんか始まった!?
「私は、私はぁ!」
「さ、涙を拭いて。犯してしまった罪を償いましょ?」
羊、そこまでのことしたかなぁ?
「ミミ君……!」
「刑事さん。まだ羊さんは自首扱いになりますか?」
悪魔の言葉を受けて、うぱ敬礼。そのポリス帽はどこから持ってきたの?
「……ミミ君、出て来れたら、また読んでくれますか?」
「もちろん。経験が濃くなった小説楽しみにしてるですよ」
羊はうぱに連れられ玄関から出ていくのだった。
「あの、こういうの骨折り損のくたびれ儲けって言うんですよね」
牛、ウチのシャワーでケチャップ落としていいよ。




