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悪魔がウチにおりまして・523

みんなでイチゴ狩りに来ている。

あの、場所は伝えておいて欲しかった。


「ニンゲン!晴れた、晴れたですー!」

麦わら帽子を被った悪魔がバンザイしながら晴れたのをよろこんでいるんだけど。

「あのね、モグラの農場ならそう言っておいてよ」

今回イチゴ狩りをする場所がこっちじゃなくて悪魔の世界なら来なかったって。

「タヌキです。ニンゲンさん、目の前にある赤い宝石を前にそんなこと言えるのですか」

モグラの言う通り、目の前に広がるイチゴ畑にはたくさんのイチゴがなっている。

「美味しそうだけど」

「でしょう。丹精込めて育てました」

胸を張るモグラの後ろでぴょんぴょん跳ねているイモ虫が見えるけど無視していいの?

「ボークーもー!ボクも手伝ったのー!」

「モグ、害虫いるけど?」

「目に見えるサイズ1匹なので後でつまみ出します」

「ひどくない!?」

ちゃんと手伝っているんだろうなぁ、モグラひどいなぁ。

「くっちにだせー!よーごしろー!」

「イモ虫、あとでふかしたおイモを上げます」

「許可します!」

イモ虫の買収も済んだところで皆の手に練乳が配られる。

「時間は3時間です。食べる分には結構ですが持ち帰りはこのパックに入るだけ。もうひとつパックが欲しい場合別料金です」

なんか割としっかりしてる!?

それにしても、貰ったパック大きくない?買い物カゴくらいあるんだけど。

「さ!ニンゲン!行くですよー!食べるですー!」

カゴを受け取ると悪魔が畑に飛び出して行った。

「行っちゃった」

「ニンゲンさんもどうぞー。時間は余るでしょうけど」

モグラに促されて畑に入る。

そしてカゴの大きさの意味がすぐにわかった。

目の前にあるイチゴはまるでマンゴーほどの大きさで並んでいたからだ。

「……コレ、イチゴ?」

「こっちのイチゴは小さいものから大きなものまであるんです。ラグビーボールくらいのもありますよ」

それならパックがこのサイズなのは納得。

「丹精込めて育てました、ぜひ味わってくださいね」

モグラの目、心無しか輝いている。

この子、自分の作物に自信あるからなぁ。

「せっかくだし、たくさん食べるからね」

モグラ、サムズアップ。


結局5個も食べるとお腹いっぱいになってしまった。

「ニンゲン、だらしないですねー」

悪魔はと言いますと身体が真っ赤に染まるほど時間いっぱいイチゴを堪能するのでした。

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