悪魔がウチにおりまして・522
「皆さん、揃ったですか」
「ミミ殿、いかがなさいまちた?」
「いえ、そろそろ例の計画を実行に移そうと思いまして」
「……ついに、やるのですか」
「ええ、皆さん待ちわびたことでしょう」
「しかしミミ君、まだ時期尚早では。こんなに唐突では……」
「羊さん、仕方ないのです。もうすでに熟しているという連絡がきてしまいました。時は一刻を争います」
「ミミ殿、決行は?」
「明日にでも」
「……残念ですが私は辞退します。こんな急な決行なんて聞いていない」
「退くもまた勇気です。クモちゃんは……さすがです」
「某もついて行きます。良いですね?」
「もちろんです……今回の『1号狩猟作戦』は機密です。特にニンゲンには……」
「ミミ殿」
「ごんちゃん、なんでしょう」
「背後にニンゲン殿が」
「え?」
「……アンタら、何企んでるの?」
クローゼットの中でごそごそ相談していると思って聞いてたら私の名前が出てきたからつい開けちゃったけど。
「にににににににににに!ニンゲン!いつからそこに!」
「揃ったですかーってあたりから」
「ミミ殿、最初からです」
「わかってるですー!解散!かいさーん!」
悪魔は両手を振って皆を散らそうとするが当の悪魔の首さえ抑えておけば問題ないでしょう。
「狐ちゃんだけじゃなく、クモまで巻き込んで。また危ないことをしようとしてたでしょー」
「ニンゲン殿、某も危なかったら心配ちてくれても良いのですよ?」
狐がズボンの裾をくいくいしてる。
アンタは自分の判断で逃げるでしょ。
「ボクから説明しましょう」
「ぽ、ぽんちゃん!逃げてー!」
悪魔が断末魔のような叫び声を上げる。後でゲンコツです。
「ここまで来たら説明しないわけにもいかないでしょう。ニンゲンさん心して聞いてください」
モグラが勿体ぶって念押しをしてくる。
「1号狩猟作戦とは野に散らばる赤きモノを狩るそれはそれは恐ろしい作戦なのです」
「平たく言って」
「イチゴ狩りです」
モグラは全く話すトーンを変えずに即答する。
「言っちゃったですー!ニンゲンにバレたら付いてきちゃうですよー!」
イチゴ狩り程度でそんな大げさに!?
と、言うわけで明日はイチゴ狩りになりました。
「私、予定があるのでお土産お願いしますね」
羊はあっけらかんと頼んでくるのでした。




