悪魔がウチにおりまして・50
皆でお片づけをしている。
ザリガニ?そこでリアカー引いてますけど?
「こ、この度は誠に無礼をいたしまして、申し訳もございません…」
被害自体は悪魔が撃ち落とした雷の黒ずみが一番のものだった。
そもそも侵略する前に捕らえられているのだからせいぜいその周りの掃除くらいですぐに終わった。
問題はこの土下座したターコイズザリガニ。
「我が子。この者はいかがしますか?今からでも慈悲の炎にくべてやる事も出来ますが」
白狐の言葉にびくっと背筋を伸ばすザリガニ。
「そこで私に振りますか」
「えぇ、これも修行です」
別に修行してないんですけどね。
直接被害を受けたうぱを見る。
目が合うとにっこりと笑っている。
うん、気にしていない。
「そうしたら、ここの警備とかでいいんじゃない?そうすれば自分がどれほど弱いかわかるでしょ」
白狐がキレてた時にも全然気付かないくらいの鈍感さが直ればよし、他の奴らにけちょんけちょんにやられるもよし。
命取らないだけありがたいと思ってもらわねば。
白狐は満足そうに頷く。
「さすが我が子。いい采配です」
「うぱ本人が気にしてないっぽいので。我が子じゃ」
ない、と言い切る前に間の抜けた声が挟まってくる。
「ニンゲンー。トロッコ3号はこの場所に置いていくのですか?連れて帰っちゃダメなのですか?」
…さっき雷どっしゃーん!とかしてませんでした?
「宿主殿、ミミ殿は根に持たないのです。昔は某たちの秘密基地を燃やちた小鬼を滅ちたのですが、謝ったものは今でも遊んでいるのです」
よく遊べるね?
ザリガニはスマホで着信しているみたいに震えているから、遊ぶことは無理でしょうけど。
「ほら皆、片付け終わったら帰るよー」
ここにこれ以上いても、うぱの正体分からないでしょうし。
なんなら悪魔が怒ったことですっかり忘れていたくらいだし。
「そういえば、悪魔」
「なんですか、ニンゲン」
「あんた、うぱ見えないのに何であんなに怒ったの?」
「ニンゲンの友だち、いい子に決まってますから」
こういうところが可愛いんだよなぁ。
私たちはやっと家にいる。
また1匹、不思議な生き物の増えた家に。
クモが警戒を解かないのはそのうち慣れるでしょ。




