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悪魔がウチにおりまして・518

ウチには悪魔がいる。

テーブルでコーンフレークを食べている悪魔が。


「ニンゲン、おかえりですー」

「悪魔、ちょっと」

「ニンゲンもコーンフレーク食べたいですか?食べたいですね?仕方ないですねー」

こっちの言葉を言わせないように手を引いて廊下に向かうということは”見えて”いるということか。

それなら話が早い、ついて行きましょう。

リビングから離れ廊下に行くと後ろから狐とクモ、うぱ。なんならモグラにイモ虫すら付いてきた。

「はい、まず何?アレ」

「わからないのです。帰ってきたらでーんっていたんです!」

もう1度リビングを覗く。やっぱりいる。でっかいカイコが。

「またアンタか拾って来たんじゃないの?クモみたいに」

「違うですー!クモちゃんは雨に濡れていて可哀そうだったから連れてきたです!」

イヌやネコのようにこのサイズのクモ拾って来たときには目を疑ったものです。

「てことはクモの友だち?虫だし」

クモ大慌てでたくさん脚を振ってる。

スケッチブックに「こあい」って書いてまで必死にコミュニケーション取ろうとしてるあたり、本当に心当たりないんだろう。

「狐ちゃん……は、無い。少なくとも拾ってこない」

狐、小さくガッツポーズ。なんならこのビルのオーナー、飼うなら勝手に別の部屋を用意するでしょ。

「モグラも……無いかな。あんなの連れてくるなら種蒔きさせる」

モグラ、胸を張る。数瞬後「タヌキです」と訂正入れてる。

「てことは……」

皆の視線がイモ虫に注がれる。

「ミー?ナイナイ。ボク、幼虫。あっち成虫。力関係負けてるって」

なんか、納得。

今1度皆で覗きに行く。

壁に張り付いたカイコ、じっとこっちを見てるんですが。

「ニンゲン!見てます!見てます!」

「お静かに!イモ、行け!」

手近にいたイモ虫をカイコに向かって投げる。

「なぜにー!!」って本気で泣いてるけど仕方ない、尊い犠牲だ。

「は、ハロー!あいむ・きゅーと幼虫!あーゆーじぇんとる?」

だいぶバグった交流してるけど、大丈夫?

カイコはじっとイモ虫を見て、触覚2本でイモ虫をぺしぺしと叩いている。

「吸われる!?なんか読まれてる!?ゴメンナサイ!昨日ここのアイス盗み食いしました!」

「……カイコさん!しばけ!」

悪魔、参戦。今は食べ物の恨みを発揮してる場合じゃない!

ひとしきりイモ虫をぺしぺししたカイコは興味を失ったように壁に戻る。……え?対処できないの?


ウチには……どうしよ。

メーター越えのカイコとかやってないんですけど。

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