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悪魔がウチにおりまして・515

ウチにはお姉がいる。

悪魔と一緒にせんべいを食べているお姉が。


「メノ、おかえりー」

「ニンゲン、もっと遅く帰ってくればよかったのにー」

悪魔にしつけという名のゲンコツで撫でる。

「来るなら言ってよー。何も用意してないんだよ?」

「お構いなく。たまには顔を出さないと忘れられちゃうと思っただけだからー」

こんなキャラの濃い人を忘れるわけないだろうと思った。

でも、口に出したらどんな反応が来るかわからないから黙ってるけど。

「ニンゲンさん、お風呂が冷たいです!なんで沸かしてくれてないんですか!」

またしつけの必要なイモ虫が風呂場から出てきた。

そんなイモ虫をじっと見つめるお姉。

「……メノ、正座。お前、動くな」

お姉は銀のナイフを5本投げてイモ虫の周囲に突き刺した。

狐がそろばんを叩いてる。請求、お姉にしてよね?

「異議ありー」

指示通り、正座をするものの手を上げて意見陳述を。

「却下します。というか、順番的にメノは後」

理不尽だ!……てことはイモ虫の相手からってこと?

「ニンゲンさん!この化け物は誰ですか!姉!?確かに似てる!」

自己完結してるんじゃないよ。

「メノって、変なの引き寄せるなにか……どう考えてもあるわね」

悪魔を横目で見ながら大きく頷く。

「ボクは変じゃないです!由緒正しい……とは言えないけどちゃんと悪魔です!」

そこ自信持ってよ。

「コレ、そんなにヤバいの?」

「なんで普通に共存してるのよ。コレ、祓っていい?」

「のっと!いやだ!んーいぇっと!ちな、最後はロシア語です!」

どうでも良いわ、そんな情報。

「ちなみに、どれくらい一緒にいるの?」

「……半年?」

去年には居た気がする、覚えてないけど。

その言葉を聞いたお姉は目を丸くしてナイフを抜く。

「それだけ一緒にいたのに何もしてないなら、何かする気無いんでしょうね」

「とい、すぷらーびにえ!ちな!スロバキア語!」

「やっぱり祓うか、なんかムカつくし」

「理不尽!」

お姉のコミュニケーション能力はイモ虫と漫才ができるんだ、すごいなぁ。

「とりあえずー、はいっと」

お姉はイモ虫の背中にポンっとハンコを押した。

「これで悪さしたら自動に……うわぉ」

一瞬付いた花の印がみるみる消えていく。

「ふっふっふ。その程度の浄化で我を縛ろうなどにゃぎー!?」

「やっぱ消すわ」


ウチではイモ虫が悲鳴を上げている。

ナイフでお腹をぐりぐりされているイモ虫が。

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