表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
525/1159

悪魔がウチにおりまして・514

ウチには悪魔がいる。

どてらに包まっている悪魔が。


……そんなもの、ウチにあったのか。

「ニンゲン!3月です、3月のはずです!」

「そうね」

悲痛な叫びをあげている。

その理由はどてらと外の天気でなんとなくわかっている。

「3月は!春のはずです!なぜ!雪ですか!」

「ゴメン、私も聞きたい」

令和になってからというもの、気温の乱高下が続いている。

正直、私も勘弁してもらいたい。

「寒いよね、今日」

「おか!しい!もう衣替えしてダウンはクリーニングしちゃいましたのに!ダウン、かむばっく!」

ちょっと待って?アンタ、ダウンなんか持ってたの?

「ただいま戻りまちた」

雪の降りしきる中、狐は耳当てにニット帽という完全防寒で買い物から帰ってきた。

「ミミ殿、ピザまん売り切れてまちたので、代わりに極上角煮まんでいいですね?」

まったく近くないまんじゅう買ってきてるし。

「なんでもいいのですー!それよりもココアは!熱々のココア!」

……粉あるんだから自分で沸かせばいいのに。

「ココアも売り切れでちた」

「なーんーでー!寒いのにー!」

「寒いからじゃない?」

考えることはみんな同じってね。

「かくなる上はニンゲン!今夜のご飯をお鍋に」

「残念、今日はお刺身です」

とてもいいスズキとイカを貰ったので仕方ない。

「刺身……刺身!?こんなに寒いのに!?」

タイミングが悪いのは認める。

「仕方ないでしょー。せっかく生でもらったんだから」

それがち白身ちろみ魚、好きです」

狐はいい子ねー。しっぽぱたぱたしてるから、本当に好きなんだろうな。

「悪魔が温かい物食べたいならカレーがあるわよ、レトルトの」

「せっしょう!がってむ!じぇのさいど!」

最後、私に恨みを言ってないか?

「ミミ殿、そんなにカレーが食べたいならそれがちが代わりにミミ殿の分はいただきましょう」

よだれを垂らしてるぞー、少しは取り繕いなさい。

「裏切者ー!ボクも!お刺身!好きっちゃねん!」

情緒乱れすぎて口調変わってるじゃないの。

「……あ、別に温かくできるか」

『なんですと!?』


ウチでは悪魔が泣いている。

「ニンゲン、一生ついて行きますー……」

「たぶん私の方が先に死ぬよね?」

泣きながらだし茶漬けを食べている悪魔が。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ