悪魔がウチにおりまして・508
ウチにはモグラがいる。
キョロキョロと左右を見てるモグラが。
「どっち探してるの?」
コイツが探しにくるのは悪魔か狐しかいないからね。
「労働りょ……ミミちゃんはいませんですか」
本当にこいつらの関係で友だち続いているのどうなのよ。
「この前本当に悪魔が死にかけてたから少しは遠慮してよ」
モグラに畑仕事させられて帰ってきたら、冷ややっこすら重いって言われて、何あげたらいいのかわからなかったんだから。
「軟弱者ですねぇ。ウチのミミズもイモ虫も同じことしてるというのに」
「認めたくないっ!」
クローゼットからイモ虫が飛び出してきた。
「入場料、10円」
「はーい……おかしくない!?」
でも10円くれるんだ?
「ボク!ぽんさんの!部下じゃなーい!働く理由なーい!」
「ウチの野菜、無差別にかじりまくった恨み、忘れてません」
イモ虫が悪いじゃん。
「でも!でも!たった3個のトマトだけでもう3か月働いてる!」
モグラがブラックじゃん。
「働くたびに、でしょう。むしろ抜け出したいならなんで食べるの?リボ払い好き?」
モグラ、キレッキレなツッコミやめて。
「ぽんさんのトマトが美味しいのですー。ちなみにケチャップはおいくら?」
イモ虫が財布を出してお買い物モード。
そうやってモグラに投資していくのね。
「そうですね、イモ虫さん週3回来てくれたらそのたびに1本ケチャップをあげましょう。タダですよ」
1日働いてケチャップ1本って。
「さすがに、その対価ではありえません」
イモ虫、冷静である。
「しかたありません……ホール缶も付けるならいかがです?」
イモ虫、指折り計算をしている。
そしてすっと手を差し出してモグラと握手を交わした。
いいのか、イモ虫。
「ただい……帰りますー!」
「ウチはここだよ」
悪魔が帰ってきてモグラを見た瞬間逃げようとしてるし。
しっかりトラウマになってるじゃない。
「……ミミちゃん、ご苦労さまでした。ウチには新たなどれ……協力者が増えたのでもう頼むことはないかと」
今、絶対倫理無いこと言おうとしたよね?
「……本当ですか、もう、いかなくていいんですか?」
ぽろぽろと大粒の涙を流す悪魔。どれだけ酷使したのよ。
「ふっふーん!悪魔さん、替わってくれとかダメですよー?」
なんでブラックに突入したイモ虫が威張ってるのだろう?
数日後イモ虫が来た。
すっかりやせ細ったイモ虫が。




