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悪魔がウチにおりまして・506

ウチには悪魔がいる。

目隠しをしてコップを並べている悪魔が。


「ふむむ……これは、エクアドル産ですか!?」

コップを傾けた悪魔は牛になんか言っている。

エクアドル?どこだ?

「ミミさん、そこでは採れません。今のはインドネシアですね」

あー、産地当てやってるのね。

「むきー、もう1回です!牛さん、ボクは諦めませんよ!」

そんなこと言いながら悪魔は牛に千円を渡す。

「少し気の毒になってきたんですが。コレも必要経費です」

待て待て、賭けてんの!?

「ウチの中で賭博しないでよ、それなら別のところ、で?」

言葉が喉に引っかかる。

普通、利きなんとかってお酒とか、コーヒーとかじゃない?

悪魔の前に置かれたコップ、全部チョコだったのよ?

「賭けじゃなくて。この量用意するのこれくらいかかっちゃうから払ってもらってるんですよね」

ちらりと牛の脇を見ると既に10枚ほどの千円札が置いてある。

「ニンゲン!邪魔をするなです!牛さん、ワンモアプリーズ!」

「はーい、でもそろそろ無くなるのでラストですよー」

のんびりとコップにチョコを注いでシャッフルしていく。

「はいどうぞー」

「っしゃあ!やるですー」

悪魔が目隠しをしたまま「ガーナ」と書かれたコップに口を付ける。

「……この滑らかな口当たり、しつこくなく、かといって軽くも無い……これは、ガーナです!」

なんで当たるのよ。

「正解です。続いてこっちは?」

次にさっき間違えた「インドネシア」に手を付ける。

「……さっき飲みました。これはインドネシアです」

「どこで判断してるの、アンタ」

全部色合い一緒なんですけど?

「ふっふっふ。カカオ豆の産地ごとに個性があるのです!ボクくらいになれば丸わかりなのですー!」

10回もチャレンジしてれば……いや、こんだけ飲んだら口の中があまあまで何もわからなくなるな。

「さて、ミミさん。次は難しいですよ」

牛がラベルのないコップを渡す。悪魔がくぴりと喉に流しこんだ。

「……なんでしょう、いつも食べているような、知らないような……」

悪魔は戸惑いながら、何度もコップを口に運ぶ。

「さすがのミミさんもコレはわからないでしょう」

牛が腕を組んでドヤ顔してるということは何か仕組みやがったな。

「……いつも食べているけど、なんでしょう、この何とも言えない争いの味……まさか、牛さん!そんな外法を!」

牛が顔を歪める。

「こんな、むごい……里と山を混ぜましたね!?」

そんなことある?てか、なんでわかるのよ。


「ミミさんを舐めてました……」

「クッキーが残ってました」

ねぇ、産地当てどこに行ったの?

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