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悪魔がウチにおりまして・504

ウチには悪魔がいる。

うどんを打っている悪魔が。


「ごめんくださーい」

誰だ?チャイムも鳴らすことなく叫び声を上げているのは。

「ニンゲン、ボク手が離せないので出てください」

なんか癪な言い方だけど仕方ない。

「はいはーい……あれ?エビ?」

「一応ザリガニなんで勘弁ください。オーナーいます?」

オーナーってことは狐?

「狐ちゃーん、ザリガニー」

「あ、いるんなら上がらせて欲しいっす。相談があるんで」

こちらが答える前にすでに上がり始めるザリ。

「おや、どうちました?今日は仕込ちこみは大丈夫ですか?」

「そのことでお話が。バー、辞めたくて」

狐、案内の最中そのまますっこける。

「今、なんと?」

「コメット5号!何を言ってるですか!!」

うどんを打っていた悪魔がすっ飛んでくる。

そりゃそうか、そのバーのためのうどんを打っていたんだから。

「彗星13号!店に卸すうどんを打っているというのに!」

「いい加減名前覚えて欲しっす。それはそれとして、それが原因です」

ザリガニ、ちゃんと悪魔に文句言えるようになって……。

「姐さん、変に感動してません?」

「ところで店を辞めるとは?ミミ殿のうどんが原因?」

「ええ。考えてください、バーでうどんって」

そこを今さら気にしますか。

「それは……でも人気でしょう?」

なぜか大人気の悪魔うどん。最近クモに作り方を教えてるの見たし、それでお客さんが来るなら良いんじゃない?

「だから、バー辞めて定食屋にしたくて」

そっちかー。でも納得の理由。

悪魔が仕込んでる量を考えたら明らかにうどん食べに来てるんだろうし。

「なりません」

狐、即答。

「なんで?売れてる物メインにするのは良いと思うけど」

あまりの即答に思わず口を出してしまった。

「ボクとしてもうどんを作り続けられるのなら別に良いですー。ごんちゃん、何がダメなんですか?」

「……定食屋にちたら、おしゃれすぎます」

……あぁ。カウンターにボトルラックだもんね、あの店。

「そこをどうにか。うどんは残しつつ、こんな感じにおしゃれが似合うメニュー考えてきたんで」

すすすっとメニュー案を出すザリガニ。抜かりないなぁ。

「……うどんが浮くのですが」

「それはオレも思ってます」

元々の目的からズレてる!?


ウチでは会議が始まった。

「そもそも、うどんやめないっすか?」

『ダメです』

長くなりそうだから頑張ってね。

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