悪魔がウチにおりまして・503
ウチには悪魔がいる。
普段3合コメを食べる悪魔が。
「ごちそうさまです」
悪魔はかちゃりと箸を置く。
「ミミ殿まだ2杯ではありませんか」
「食欲が無くて……」
充分なんだけど、普段からくらべたら、まぁね。
「悪魔、そんなに食欲無いなら言ってよ」
「ニンゲン、心配をかけて……」
「ご飯、明日アンタの分だからね」
悪魔、泣き始めてるけど、間違ってないよね。
「ニンゲン殿にヒトの心が無いのは今更ですが、食欲が無いのはきになります」
なんかあからさまにディスられてるんだけど!?
「実はですね……ほわんほわんほわん……」
自分で回想っぽい音楽口にしてるし。
「きょーボクはのんびりとお散歩をしてたです。街を歩いていると美味しそうな匂いが。おや!こんなところにたい焼き屋さんができているじゃありませんか!」
「食べ過ぎだったらしばく」
「ニンゲン!今日は眠いのでもう寝ます!」
「待てい」
逃げ出そうとする悪魔の首根っこを掴んで持ち上げる。
「ニンゲン殿。ミミ殿を片手で持ち上げるのはニンゲン辞めてます」
黙りなさい。コイツ、自分で浮いてるから辞めてません。
「悪魔、ご飯が食べられなくなるほどたい焼き食べたの?」
「め、めぇ」
お前は羊じゃない、悪魔だ。
「何匹食べたのか言ってごらん」
「15匹……」
それだけ食べればお腹いっぱいに……じゃないな。
「悪魔、今度は目を合わせて、正直に、言ってごらんなさい?」
「……53匹」
トリプルスコア以上じゃないか!
「さぁ、ミミ殿!そのたい焼き屋さんの場所を吐くのです!ニンゲンのご飯を我慢できなくなるくらいの美味ちさ、見過ごせません!」
もしかしてこいつらの中で私のご飯の評価、とても高いのだろうか。
「ダメなのですー!たい焼きは、たい焼きはボクのものなのですー!」
ウチには悪魔がいる。
「余ったおコメ、おはぎにしようかな」
「ボクが責任もって」「ミミ殿はたい焼きで充分です!」
埃立つから暴れないでねー。




