悪魔がウチにおりまして・499
ウチには……。
「ボクと!」「私の!」『お料理クッキング!』
またなんか始めたよ。
「へい!羊さん!ボクはソーセージが食べたいのです!」
「仕方ないなぁ、ミミ君は。ぱぱぱぱっぱぱーん!ひき肉ー!」
待て、そのひき肉どこから出した?
「このひき肉を使ってソーセージを作っていきましょう!」
「でも羊さん。ソーセージってパリッとしてます。肉だけではできないのでは?」
「ミミ君、良いところに気が付きましたね。ある物でひき肉を包んで燻製にしているのです!」
「ある物ってなんですか!羊さん!」
おい、やめろー?
「それはですねぇ……羊の腸です!」
「羊の……おや?目の前に羊さんが」
「ひいぃー。食べられるー!」
また茶番が始まったぞ、また腹にケチャップ塗ってるし。
「新鮮な腸が手に入ったですー!それではソーセージを作っていきましょう」
「作り終えたソーセージがここに」
羊がレンジの中からすでに焼かれたソーセージを取り出してくる。
「作るんじゃないの?」
「ニンゲン、ボクらがソーセージを作るなんて面倒なことすると思ってました?」
身も蓋もないことをおっしゃる。
「ほら、燻製って時間がかかるらしいじゃないですか、臭いらしいじゃないですか」
それなのにならなんで料理番組風にしたのよ。
「ニンゲンさん、冷静になってください。仮に燻製など作ろうものなら……」
「不穏な気配がちます」
びっっっくりしたぁ……。
いつの間にか狐が湧いていた。
「某のビルはなるべく穏便に行きたいと考えています。そのことはおわかりですね?」
狐、すでに鼻先を悪魔にめり込ませている。
「ちかし、誰とは言いませんが少々問題が多い住人がいるのも事実。誰とは言いませんが」
確かに誰とは言ってないけどさ。
今回ばかりはとばっちりで少し可哀そう。
「ボク、何もしてないのですー!」
「……それならば構いませんが」
それだけ言うと狐がふっと消えた。
「……ボクに注意するためだけに式神飛ばしてくるの、理不尽じゃ……羊さん!?」
悪魔が叫ぶと羊がもりもりとソーセージを食べていた。
「話が長そうでしたので。ミミ君、冷めますよ」
「きる・ゆー!」
ウチではソーセージ戦争が起きている。
クモがいつの間にかロフトでもりもりしてたのはナイショ。




