悪魔がウチにおりまして・48
「皆の者、相手は擬態している可能性があります。この領域を容易に侵すほどの手練れです。見つけても手を出してはいけませんよ」
『はいっ』
目の前には狐だけではなく、リスなどの齧歯類、蛇やトカゲなどの爬虫類が武装して走り去っていく。
「かか様、これは…?」
「ごんちゃんママ、ニンジャ8号がなにかしたんですか?」
子ども2匹は心配そうに白狐を見上げている。
「悪魔の仔、あなたが見つけたものは侵略者なのです。この子を見ることが出来るのに領域に入ったことを私が知らない。野良の生き物が持っている力ではないのです」
白狐の言葉に、うぱは僕のせい?とでも言いたげに首に擦り着いている。
「うぱの仔、あなたのせいではありません。どこにでも愚かな者はいるのですよ」
いや、うぱの仔って。
「お館様!侵入者、見つけました!我らで拘束を…」
「なりません。私が手ずから相手しましょう」
小さなモモンガが飛んで報告すると白狐がゆっくりと立ち上がり目を細める。
「この領域は余裕だな。変なのに捕まったときには冷や汗をかいたが…」
「その失態を軽く見ている、それがあなたの落ち度です」
ザリガニしゃべってる!?
「ずいぶんお早いお着きで」
「ドラゴン4号、、しゃべれたのですか?」
「自分で付けた名前くらい統一しろ!」
なんでザリガニと同意見なのかしら。
「名などどうでもいいでしょう。所属は?どこの命令ですか?」
「命令?そんなものどうでもいい。オレはてっぺんを取るのだ!」
ザリガニは両ハサミを振り回して威嚇をしている。
そうは言ってもザリガニのサイズはせいぜい10センチ程度。
確かに大きいけど、そのサイズじゃクモにも勝てないよ?
「つまりは功名心というわけですか…」
にわかに殺気立つ白狐。
私でも寒気のする気配を気にすることなくけたけた笑うザリガニ。
これはダメだ。
両者の間にうぱが入り込み、白狐を止めようとする。
私の目から見ても勝負にならないザリガニすら守ろうとしてるんだ。
「うぱの仔、そのような者庇っても益になりませんよ?滅してあげるのも慈悲でしょう」
白狐さん、怖いから。
「てめぇ、邪魔するのかっ!」
間に入ったことで腹を立てたのか、ザリガニはハサミで背中から振り払う。
「うぱ!」
まったく気にしていないところに殴られたうぱは白狐まで吹き飛んだ。




