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悪魔がウチにおりまして・498

ウチには平穏が……。

がっしゃーん!!

を、破る音が隣から響いてきた。


「羊さん……?」

悪魔が背筋を伸ばし壁に向かって声を上げる。

「羊さん、羊さん!どうしたですか!」

悪魔は壁を叩きながら「ちくしょう、羊さんが!」とか叫んでるんだけど。

「……隣よ?見に行けばよくない?」

「ニンゲン、雰囲気って大事じゃないですか」

声をかけるとすぐに素に戻ったあたり、本気ではなかったらしい。

玄関から回ってチャイムを鳴らす。

「羊さーん、どうしましたー?」

反応は、無い。

普通にドアの鍵が開いていたのでしれっと侵入。

部屋に入ると、そこには赤い液体をお腹に付けた羊が仰向けに倒れていた。

「ひ、羊さーん!?」

悪魔が駆け寄るとゆさゆさと揺する。

「羊さん、羊さん!……寝てます」

起きろ、ケモノ。

羊の周囲を見回す。

床に落ちたバナナ。蓋の開いたケチャップ。テーブルに乗っているフライドポテト。

「わかりました。犯人はこの中にいます!」

羊に指を向ける。

「ニンゲン、様式美って知ってます?」

「ていうか、羊は頭とか打ってなさそうなの?」

「ミミ君に寝とけって言われました」

茶番に乗ってるならまぁよかろうなのだ。

「羊、ポテト貰うわね」

「私の分も残しておいてくれれば大丈夫です」

「羊さんはこのアツアツのポテトを美味しく食べようとしました」

悪魔の推理?が始まる。

おーい、1回に3本もポテト取るなー?

「しかし、なぜか床にあるバナナの皮には気付かなかった」

「ちゃんと捨てたはずだったんですが。いけませんね、ゴミ箱見ないで投げ捨てるの」

もはやそこまでくると芸術点付きそうだよね。

「羊さん、被害者役は黙っておくですー。はい、ポテトー」

仰向けに寝ている羊の口にポテトを運ぶ悪魔。

「そしてこのお腹に付いた赤いのは当然ケチャップ、つまり!この犯人は羊さん本人です!」

「くっくっく。バレてしまったら仕方ありません。さすがはミミ君、名推理。しかし証拠は?私が脚を滑らせたという証拠は……」

「ポテト全部食べます」

「私が滑りました」

力技過ぎるだろ。


羊の家はケチャップまみれである。

「掃除しなくていいの?」

「ケチャップ程度ならこびりつきませんから」

「ポテトおかわりですー!」

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