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悪魔がウチにおりまして・496

ウチには担当がいる。

すっかり悪魔と飲み友している担当が。


「ニンゲンー、おかえりなさいー」

「いー」

仕事から帰るとリビングで悪魔と担当が缶ビールを傾けていた。

「あなた、仕事は」

「あのケモノから原稿ぶんどりましたー」

いまだに紙原稿でやり取りしてるの?

「いや、データなんですけど。監視してないとサボるんで」

容易に想像ができてしまうのが羊が普段からいかにちゃらんぽらんかを示している。

「本当は牛に会いに来たんじゃないの?」

地雷というものは自ら踏みに行くと楽しいって誰かが言ってたからね。

でも担当も悪魔も反応が薄い。

「今ちょうどその話をしてたですー」

「私気付いたんです。牛さまのこと好きじゃないなって」

この前あれだけ荒れていたのに?

「冷静になってみてくれます?テールスープが好きだからって牛さまと結婚するってなんか違くありません?」

なんかじゃないのよ、それは100%違うの。

「さっき一緒にテールスープ作ってるときに気付いたんですって」

下処理に手間のかかることをヒトのウチでやらないでもらえます!?

「大丈夫です、出た脂は全部ボクが飲みました!」

腹壊すぞ!?

「あのぉ、話し戻してもいいですか?」

確認を取る時点で理性がサラバいしてないようで何よりです。

「で、食材として好きだけど異性としては好きじゃないかも知れないので、そのことをけむじゃらと話してた次第です」

どうでも良いけど悪魔の呼び方どんどんひどくなってない?

「なのでニンゲン、担当は無害になりました!」

「あ?」

「担当は元気になりました!」

パワーバランスは変わってないってことね。

「なのでご迷惑をかけたお詫びにテールスープ召し上がってください。それじゃ」

担当は引き留める暇も無くとっとと帰っていった。

「……らしいよ、牛」

天井からはらりと布が落ちてきて、牛がへばりついていた。

「牛さん!?いつからニンジャに!?」

悪魔、気付いてなかったのか。

「ニンゲンさん、騙されてはいけません。好いた惚れたは秋の空。3時間もしたらぶり返す気しません?」

……あり得るなぁ。

「なので警戒態勢を解いてはいけません。第2種に引き下げておきますが」

一応、レベルは下げるのね。

気持ちはわかるけど。


ウチでは夕飯が始まる。

「ニンゲンさん、このスープ私に出します?」

捨てるのは勿体ないでしょ。

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