悪魔がウチにおりまして・493
ウチには悪魔がいる。
海賊帽子を被って歌っている悪魔が。
「よーほーよーほーぼーく魔ー族ー」
海賊じゃないのかい。
最近帽子にお熱なのかしら。
「昨日のとんがり帽子は?」
なんか権利的にも尖っていたアレはどこにいったのかしら。
「……なんか、誰に被せても鹿児島ってしか言わなくなったので捨てました」
捨てるなよ、直るかもしれないでしょ。
「それより今のトレンドはパイレーツです。賞金かけられて返り討ち、宝物を身内で仲間割れですー!」
実に賊っぽい動きですなぁ。
「某はキャプテン・シュリンプ。七つの海のお宝は某のものです」
目に眼帯、手にかぎ爪を付けた狐が歩いてくる。
神社と名付けたつもりだろうが盛大にエビなんだよね、シュリンプだと。
「やや!キャプテン・ごんちゃん!者共、出合え、出合えー!戦ですー!」
悪魔、ちょっとは海賊調べて相手に敬意を払おう?
せめて今はエビって呼んであげよう?
出合えと言われてわらわら出てきたのはクモのちっこいの。
そういえばこいつら小さい個体いたわね。
「シュリンプだもん……そっちがその気ならこちらも。返り討ちだー!」
狐の掛け声で出てきたのは小さいうぱ……うぱ!?
コイツも分身できたの!?
「くぅ!ただではやられぬですかー!大砲用意ー!」
号令と共にコロコロとミニカーに乗せた大砲を押してくるミニクモ。
「やや!ならば某も!」
こっちはこっちで割りばしで作った輪ゴム鉄砲を構える。
ミニうぱ達、物持てたっけ?
「放てー!」
先駆けたのは悪魔側。
大砲からポンっとピンポン玉を発射する。
良かった、ちゃんとおもちゃだ。
連続で飛んでくるピンポン玉に次々倒れていくうぱ達。
「よくもー!反撃ですー!」
対して狐、割りばし鉄砲で反撃。スピードはこちらが上である。
当たったミニクモは白旗を上げていく。
「お前たちー!こうなったら決闘ですー!」
悪魔がカトラス(スポンジ製)を抜く。
「望むところ、たー!」
狐はこだわりか、日本刀(こちらもスポンジ製)で打ち据える。
口でカンキン言って打ち合う2匹。
「これで……最後の一撃です……」
「お互い、全力を出ちましょう!」
すれ違いに打ち合い、交差する。
2匹は同時に倒れるのだった……!
……私は、何を見せられていたんだろ?




