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悪魔がウチにおりまして・489

ウチには悪魔がいる。

ときどき反抗期になる悪魔が。


悪魔があまりにも遅くまで部屋から出てこないのでノック。

「悪魔ー休みだからって寝過ぎよー」

「起きてますー、ほっといてほしいですー」

起きてるなら着替え……は無いな、基本全裸だコイツ。

悪魔たちの状況をと表現していいのかはわからないけど部屋から出す口実が無くなった。

「開けるわよー」

理由など、家主であることで充分である。

まぁ、ノックもしてるから大丈夫で……じゃなかった。

「なんですかー、そんな信じられないものを見るような目をしてー」

そら信じないよ、悪魔が浮いてるなんて!

「いいじゃないですか、たまには重力に反抗期したくなる時もニンゲンだってあるでしょう?」

ねーよ、ていうかできねーよ。

「あら、ミミさん。やさぐれちゃって」

牛がかりんとうをかじりながらひょっこり顔を覗かせる。

「浮いてるんだけど」

「そりゃ浮いてますよ」

だまらっしゃい、浮いてることが問題なんだよ。

「今回は多めに見てあげてください。ミミさんが可愛がってた部下があんなことになるなんて」

急にしんみりした話?

嫌だよ、絶対凄惨だもん、こいつらのしんみり。

「ほら、ミミさんの仕事に氷河探索あったじゃないですか」

聞いた気がする程度だなぁ。

「ある程度探索が済んで、現地で拠点こしらえて。いざこれからって時にですね、その部下が」

牛の声色でなんとなく察してしまう。

探索隊を送るくらいだもん、危険地帯だから何があってもおかしくないよね。

「駆け落ちで会社辞めると思わないじゃないですか」

……思わないなぁ、この流れで駆け落ちかぁ。

「信じられません。結婚願望が無いって言ってたから単身赴任を任せたのに!」

悪魔が宙に浮きながら左右に転がる。

「なんか、うん。おめでたになるの?」

「そうなんです、なんか子どもできたって言うから素直に怒れないのです」

連絡、取れてるんだ。

悪魔がすっと出してきた写真はすらりとしたケンタウロスフォルムの悪魔と虚空を眺めるような目をしている上半身が魚の魚人だった。

「ニンゲン、この2人の子ども、どんな子になると思います?気になって夜も眠れません」

確かに。組み合わせ的にどうなるんだろ?


ウチには悪魔がいる。

「こんな時期にご祝儀なんて聞いてないですー!お菓子へそくり、崩さないといけないじゃないですかー!」

……ご祝儀、あげるんだ?

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