悪魔がウチにおりまして・47
とりあえず帰ります。
「いきなり帰らないでください、我が子」
「あなたの子どもでも、この子のきょうだいでもありません!」
「宿主殿、かか様の御前ですよ!大声はいけません!」
「ニンゲンは狐だったのですかー?」
クモはおろおろしてるし、うぱは白狐に飛んでいくし。
「おぉ、よしよし。迷い子なのですね、おうちはどこかわかりますか?」
「かか様誰と話ちてるのですか?」
「ごんのすけにも見えないのですね…もしかして我が子、この子たちに説明は…?」
「してません、何者かわかりませんから」
私の言葉を聞くと、白狐はうっすらと目を細めた。
「そうですか、何者かわかりませんか…」
白狐と私の間にうぱが入って何やら身振り手振りで説明しているのは見える。
ふんふんと頷く白狐。
首をかしげる3匹に今までの経緯を話す。
「お友達が増えていたのですかー?知らなかったですー」
「さすが宿主殿、うぱ殿はお目が高い」
狐、そっちにはいないよ。
のほほんサイドとは違い、クモは産毛を逆立てて、8つの目でせわしくあたりを見回している。
これが普通だよなー。
「話は分かりました。我が子「違います」この子もあなたと一緒に過ごしたいと「また増えるんですか」良いではありませんか、こんなに可愛いですし、無害ですよ?」
「うぱさん、一緒に住むのですか?やったー!」
「うぱ殿、今後ともよろちくお願いいたちます!」
この2匹は明後日の方向を向きながらお祝いをしている。
うぱはどこからかクラッカーを取り出してはしゃいでいる。
クモはこちらを心配そうに見つめている。
キミだけよ、私に寄り添ってくれるのは。
「権之助。あなたはまだまだ修行が足りません。ご一緒いただいて姿が拝見できるように努めなさい」
「はいっ!」
「悪魔の仔、あなたはそのままでおりなさい。クモの仔、あなたも権之助同様、見えるだけの力を養うとよいでしょう」
悪魔は首をかしげて、クモはシャキッとして頭を下げる。
はいはーい、私はどうすればいいですか!
「我が子は諦めてニンゲンじゃないことを認めてください。この子たちの反応を見たらわかるでしょう?見える存在などほとんど…」
「あのザリガニ、何だったんだろ?」
「…詳しく」
ぽつりとつぶやいた言葉に白狐の目が鋭くなる。
「えっと、悪魔が連れてきたザリガニ、このうぱ見えていたっぽくて。それをこの世界の川で釣り上げたらしいんですが」
悪魔が誇らしそうに胸を張る。
「悪魔の仔、お手柄ですよ。者共、侵入者です。総出で事に当たりなさい!」
…ザリガニっすよ?




