悪魔がウチにおりまして・483
ウチには悪魔がいる。
寒いのが滅法嫌いな悪魔が。
「しゃー!しゃー!」
先ほどから悪魔が窓に向かって威嚇をしている。
昨日から降り続いている雪に……厳密に言うと寒さに対して威嚇しているんだけど。
「ミミ君、そんな声を出し続けてたらノドをやりますよー」
羊が汁粉をすすりながら悪魔に声をかけている。
うん、ズレているでしょ。
「悪魔、近所迷惑ー」
「どうせボクらの声は他のヒトに聞こえないですー、しゃー!」
ウチら迷惑と言えばよかったかしら?
「ミミ殿、相変わらず寒いの苦手ですねぇ……」
狐は汁粉に塩を振る。
「美味しいの?それ」
「甘味が引き立ちます。ニンゲン殿もどうです?」
遠慮しておきます。
威嚇する悪魔のマネをして、うぱも両手を上げて窓の外に向かって吠えている。
意味はおそらくわかってない。
「うるさいなー、えい」
窓近くで喚いている悪魔をほんの出来心で背中を押して窓ガラスにくっつけてみる。
「いやん」
ガラスにキスをした悪魔がばっと飛びのきブルブルと震えている。
「ニンゲン?なんてひどいことをするのです?ボクがそんなに嫌いですか、嫌いなのですね?ボクがこんなにかわいくて人気投票をしたらぶっちぎりで1位だからって恨んでるんですね?」
ないよ、人気投票。
やったとしてもアンタが1位じゃないのは確定だろうよ。
「何を言うです!この物語のタイトルは『悪魔がウチにおりまして』つまりボクが主役なのです!」
唐突に次元の壁を越えるんじゃない。
パラドクスものでは創作って気付いたら死亡フラグなんだからね。
「そうですよ、ミミ君!人気投票など私がぶっちぎるに決まってるでしょう!」
遠慮しろー、羊ー。
悪魔よりも可能性低いぞー。
「なんか、ややこしい時に来てしまいました。お汁粉と言えばモチ、でしょう」
完全に我関せずで丸いモチを持ってきた牛。
「ありがと。牛は人気投票とか興味ないわけ?」
「……こんなおじさん好きになるの、結構真剣に眼科に行くことお勧めするんですけど」
大丈夫、アンタの姿はわからん……てか、おじさんなのかもわからないって。
「そうです!読者を巻き込んで人気投票を!」
「しません」
誰が集計すると思ってるのよ、まったく。
ウチでは悪魔がいる。
「それなら、ひとり1票ですー!」
自分らで人気投票を始めた悪魔が。




