悪魔がウチにおりまして・476
「これから悪魔会議を始めるのです……」
ここはとある場所。
ニンゲンの目に触れぬ場所なのです。
「どうでも良いのですが。くろーぜっとを掃除ちないと埃っぽいのです。場所を変えませんか」
ごんちゃんは悪だくみの機微がわからなくて困るのです。
こういう暗くて、埃っぽいところでやるのが良いというのに。
「会議は続行です。良いですね、ごんちゃん」
決まったことはぴしゃりと言うのです。それが悪だくみなのです。
クモちゃんが軽くため息吐いた気がします。
見ていないことにしてやるです。
「今回は最近ニンゲンがボクに対して雑だということについて議論をするのです」
どぉぉぉん!
なんとなく迫力のあるBGMなど流すのです。
「昨日なども危うく食い逃げで捕まるところでした。泣きながらATMに行ったのですよ」
「ミミちゃんが食べすぎるからです」
……まさか、ごんちゃんの頭にスリッパを乗せる日が来ると思いませんでした。
「ミミちゃん、そろそろすりっぱで抗議するのやめ……と、取れない!?接着剤とは卑怯な!」
裏切りは許さんのです。それに始めたのはニンゲンです。
ごんちゃんがのたうち回っているのを横目にクモちゃんが紙を渡してくる。
「みみさんがわるさおするとごはんへらされていやです」
ま、まさかクモちゃんからもクーデターが起きるなんて……。
「ミミさん、人望ならぬ悪魔望無いですねぇ」
こ、この声は焼きビーフン!
「私の人望、今無くします?」
こ、この声は龍田さん!
「それもややこしいんで。牛にしてください」
正式名称呼ぶとちゃんと回答してくれるから牛さん好きです。
「ミミさんが暴れるといろんなところに影響出てますからねぇ。私は大人なので自分でごはん買ってきますけど。買ってきますけど」
2回言いました。怒ってます。
「牛殿、剥離液持ってきてくれませんか」
ごんちゃんはスリッパを頭にくっつけたままクローゼットから出ていきます。
「ボクに、味方はいないのですか……」
項垂れているボクに、どこからか声がします。
(日ごろの行いが、物を言うのですよ)
羊さん、脳内に話しかけてくるんじゃないです。
今度無いこと無いこと神ちゃんに言いふらしてやるです。
(そういうところですよ……)
交信は途絶えたです。やれやれ。
「狐ちゃん、どうしたの?その頭」
妙な刈り込みの入った狐と肩を叩いている牛。
「今日ミミ殿はごはん上げないでください」
後ろには逆さ吊りの悪魔がいた。




