悪魔がウチにおりまして・475
ウチには悪魔がいる。
「ニンゲンー、助けるですー」
パトカーに連れていかれている悪魔が……パトカー!?
選択1。放っておく。
選択2。帰る。
それでは話が終わってしまうから近くの警察署の住所を検索する。
よし、近い。
仕方ないので引き取りに行きますか。
「ニンゲンー。かつ丼美味しいですー」
受付で話を聞いて取調室に行くと、もりもりとかつ丼を食べている悪魔とこめかみに青筋を浮かべているおじさんがいる。
「コレの保護者?料金請求はアンタ?」
「この子でお願いします」
何杯食べてんだよ、コイツ。
「……え?かつ丼って出してもらえ……え?」
取り調べで出てくる食べ物は全部実費なのは広く知られて良いと思うの。
「かつ丼の件じゃなくてね。この子が服脱がないからしょっぴいたんだけどね」
横暴じゃないかな?
「そうなのですー。なぜかこのヒト、ボクがボクに見えてるみたいでー」
……そりゃこんなみょうちきりん歩いてたら捕まえるか。
「あのですね……」
「……アンタ、クスリでもやってる?念のため尿検査して貰っていい?」
なんでよ!わかるけど!
「悪魔だの、変化だの。むしろ変なのに関わって後悔してるの、俺なんだけどね」
言い方考えろ!
「ヒゲ!そんな言い方無いんじゃないですか!?」
お前は自分の立場考えろ!重要参考人じゃ!
「侮辱罪適応してやろうか」
「ヒゲはヒゲでしょう!」
ねぇ、私は帰って良い?
「とりあえず聞くけど、コレは本体?戸籍隠すためとかない?」
「戸籍ってなんですかー?」
黙りなさい、話がややこしくなるから!
「尿検査、受けます?」
「時間の無駄っぽいよねぇ。一応指紋だけ貰って帰っていいよ」
なんか申し訳なくなってきた。
「ボク指紋無いですよー」
「お前はかつ丼代払えば良いから」
投げやりじゃないですかー。
「むー、おいくらですー?」
ひらりと請求書が渡される。
「……23,400えん。……ニンゲン、持ってます?」
「お巡りさん、こいつ食い逃げです」
警察署には悪魔がいる。
「ニンゲン、助けるですー!」
嫌だよ、下ろしてきなさい。




