悪魔がウチにおりまして・474
ウチには悪魔がいる。
しょうもないものにハマる悪魔が。
買い物から帰るとウチの中が騒がしい。
「ブシドゥは、治すことと認めたり……病魔根絶!」
うん、今日もトンチキだぞぅ。
「狐ちゃん、今北産業」
「ニンゲン殿、三行も使ったら話が進みません。そちて老人会……」
どごんっ☆
「狐ちゃん説明」
「床の穴の修繕費はあとで請求します。ミミ殿が先ほど『ドクターブシドゥ・最後の盲腸』を見ていまちて」
時たまおかしいのは悪魔じゃなくてこっちの世界じゃないかと思う情報あるよね。
「それは……」
「ニンゲンの世界は珍妙なものが流行ります。単行本が350万部売れているそうですよ」
少し頭が痛くなってきた。
「それであのごっこ遊び?刀振ってるけど」
「ええ、ドクターブシドゥは日本刀で手術ちます」
その世界の警察は何してんだろう。
「狐ちゃんはあのごっこ遊び混ざらないの?」
見たら仰向けの羊が悪魔に日本刀のおもちゃでぶった切られている。
……なんか噴きだしてるけどおもちゃだよね?
「ニンゲン殿。某こう見えて日の本生まれです。アレは認めてはいけないでしょう」
どうやら狐の美意識的にアウトのようである。
激しく同意しますとも。
「うぎゃー、おのれドクターブシドゥ……。我がサルモネラは、この程度で侵略を諦めぬぞ……」
羊、どうやら悪役らしい。
「黙るです、秘密結社サルモネラ!ちゃんと火を通してやるから覚悟するですー」
その刀は竹光ですか?
「食らえ、必殺の、ガスバーナー!」
「ぐわー!やられ……ニンゲンさん、いつからそこに!?」
あれ、気付いてなかったの?
「わりとさっきから?羊が切られる前くらい」
「……辱めを受けました」
なんで!?
「このドラマ、対象年齢5歳ですー。羊さん、大人だから恥ずかしいのですよー」
んなこと言ってる悪魔も良い歳でしょうに。
「かくなる上は、ニンゲンさんの記憶を抹消」
「するんじゃない!」
羊に向けてスリッパを投げることになるとはね。
ウチには悪魔がいる。
「ドクターブシドゥ?あれ、良いドラマですよねぇ」
牛も見てたのか。




