悪魔がウチにおりまして・469
今日はいい天気だなぁ。
少し遠くにお出かけしましょうか。
「ニンゲン殿、現実から目を背けないでください」
この狐、悪い子!
さっき暴風吹き荒れる扉をやっとの思いで閉めたというのに!
羊と神ちゃんの夫婦ケンカ、理由は知らんが部屋の中が台風になっていた。
ちなみに悪魔は廊下からふき飛ばされていきました。
「狐ちゃん、この部屋にも結界張ってるの?」
「羊殿が住まうとなると、どうなるかわかりませんでちたので」
狐の悪魔族に対しての信頼の無さ、今回は功を奏しました。
あれほどの暴風にも関わらず、外には一切の音漏れも振動も無い。
「このまま放っておきましょう」
「そうですね」
「じょーだんじゃないです!!」
外に吹き飛ばされた悪魔、帰宅。
鼻血だけで済んでるのはコイツが悪魔という由縁だろう。
ここ、4階なんだけどなぁ。
「ここで引き下がったらボクがぶっ飛ばされただけじゃないですか!意地でも止めてやるです!」
そう言うと悪魔はロープを取り出し、身体と手すりに結び付ける。
あぁ、先が見えるなぁ。
「頼もー!みぎゃー!!」
扉を開けた悪魔が吹き飛ばされて宙吊りに。
「ニンゲン!助けるですー!食い込む!ロープが食い込む!」
なんで手すりに結んだんだろう。
悪魔を引き上げるのは狐に任せて部屋に入って行く。
心なしか風が弱くなってるからね。
「やっぎーのセンスの無さにはうんざりだよ!」
「そこまで言われる謂われはありません!」
まだ続いてるのかよ。
「おふたりー、クレームに来ましたー」
「ニンゲン殿、遠慮ないです」
いつの間にか後ろに居た狐。あれ?悪魔は?
「吊るちてあります」
本当に友だちなんだろうか。
私のクレームに犬も食わない夫婦は同時に振り向いた。
「聞いてよ人の仔!」
「ニンゲンさん!聞いてください!」
羊と神ちゃん、何のかんの気が合うんだなー。
『ハンバーグに何乗せる!?』
一瞬耳が壊れたのかと思った。
「やっぎー、目玉焼きって言うのよ!」
「アナタこそ!チーズにオーロラソースだなんて!」
ふたりは再び顔を合わせて言い争いを始める。
「ニンゲン殿、今夜はサバ缶が食べたいです」
狐がすでに明後日の方向を向いて帰り始める。
コラ、私を置いていくな。
……そういえば、何か忘れているような。
「おーろーしーてー!」




