悪魔がウチにおりまして・45
ウチには悪魔がいる。
最近、陰の薄い悪魔が。
「ただいまですー。…ヤギさん、変な趣味ですか?」
悪魔はターコイズブルーのザリガニを持って帰ってきた。
情報量が多いことしないでほしい。
鎖に縛られたままの羊を訝し気に見ている。
悪魔、ちょっと引いてる。
羊、ちょっと傷付いている。
心なしか、角がヘタっている…感情、そこなの!?
「これは尊き者を縛る鎖ですね。なぜこんな神代由来のものが…?」
狐はまじまじと鎖を眺めてグイっと引っ張る。
羊から出てはいけない声が聞こえた気がする。
「ねぇ、助けられる?私じゃ固くて」
「ニンゲン…ヤギさんを助けてくれるなんて…やっぱりなんだかんだ言って好…」
「鎖、解かないと帰れないらしくて。邪魔」
「…ニンゲンは悪魔です」
一行で矛盾しない。
今日のお替わりは一回しか許しません。
「やっと自由になりました。このままではハムになってしまうところでした」
どこからか手ぬぐいを出して汗をふきふきしている羊を見ると、本当に抜け出せなかったのか疑わしい。
「タンク3号、どこ行くのですかー?」
悪魔は羊の心配など忘れてか、ザリガニを追っかけている。
ザリガニの行く先には泣きながら逃げているうぱ…はい?
うぱは私の後ろに隠れるとザリガニは私の前で止まる。
「タンク3号、このニンゲンには勝てません!無茶はやめるのです!」
お替わり、無しにしまーす。
じゃなくて。
うぱが左肩から顔を出せば、左。
逆に回れば右とこのザリガニは明らかにうぱに威嚇している。
「…ニンゲン?トロッコ3号がどうしました?」
せめて間違えるなら数字でしょ。
「このザリガニ、どこで拾って来たの?」
「某が里帰りちて一緒に釣りまちた!宿主殿も今度一緒にいきましょう!」
行きま…待て。
「狐ちゃん、ザリガニ返しに行くの連れてってくれない?今から!」
「い、いいですけど…宿主殿、どうちました?」
悪魔と狐が目を見合わせているが気にしない。
もしかしたらこのうぱ、あっちの世界かもしれない。
狐のお母さんなら何か知っているかも。
ウチには不思議生物が集まる。
「ラビット9号、返しちゃうのですか…?」
頭は少し弱めです。




