悪魔がウチにおりまして・468
ウチには悪魔がいる。
「ニンゲン!ていへんでぃ!事件だ、事件でぃ!」
シバいてやろうかしら?
「座る。正座。脱ぐ」
「あい」
悪魔は言うことを素直に聞いてちょんまげカツラとエセ着流しを脱いでいつもの毛むくじゃらに戻る。
「そんな物どこで買ってきたのよ」
「浅草です」
こんな外国人向けのばったもんを買うやつがいたのか……。
そう考えたらこの子も外国人みたいなもの、買っても不思議じゃないか。
「ニンゲンが何やら変な納得の仕方をしてます」
だまらっしゃい。
「ところであさくさって言っていいの?この前はちゅうのでしょ?」
「観光地はセーフって感覚なんじゃないです?」
わかったような、わからないような。
「ところでそんなコスプレして、何かあったの?」
事件だーとか言って飛び込んで来たけれど。
「あ、そうでした。隣が戦争してます」
はよ言え!?
よくそんなのに着替えてる余裕あったな!?
だが、隣って羊よね?静かなものだけど。
「それについて説明致ちましょう!」
狐がクモのロフトからしたっと飛び降りてくる。
狐ー、コヤツの影響受けちゃだめよー?
「やや!狐仮面!」
狐を煽る悪魔、きょどる狐。
クローゼットに向かってひょっとこの仮面を取ってくる。
『ご説明致ちましょう!ミミ殿が越ちてくる時点でこの部屋に結界を張っていたのです!……息苦ちいので外ちても?』
いいよー、むしろ乗るなー。
「ごんちゃん!?ボクのことを何だと思っているんです!?」
普段の行動を考えたら当然だと思う。
「音が聞こえないのはわかった。で、隣が戦争って?」
「そうでした!実は羊さんと神ちゃんがケンカしてるんです!……ニンゲン?」
「狐ちゃん、今夜何食べたいー?」
「某はから揚げがいいです」
「ごんちゃんまで!?興味失うの早くないです!?」
昔から夫婦ケンカは犬も食わないって言いましてね。
「いいから隣見に行くです。ヤバいことになってます」
不貞腐れつつの悪魔に連れられて隣……羊の部屋に向かう。
「ふたりともー、ケンカなんか」
ドアを開けつつ入ろうとすると、中が台風。
具体的には悪魔が飛ばされてロビーから落ちるくらいの風と雨。
「悪魔ー!?」
ふき飛ばされた悪魔の運命は!?
「やっぎー!今日は許さない!」
「それはこちらの言葉です!容赦しません!」
……こっちもガチケンカしてるわ。




