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悪魔がウチにおりまして・466

私たちは中華料理店に居る。

……メニューが読めないお店に。


「ねぇ、全く読めないんだけど」

悪魔が連れてきてくれた料理点、悪魔用のメニューの文字がさっぱりなのだが。

「ニンゲン、何頼むですか?ボクのおススメはコレですー」

悪魔がヒヅメを指すが相変わらず読めやしない。

「……ならそれで」

何頼んでもギャンブルである以上悪魔のおススメでいいや。

「あいよ。少し待っててね」

店主は注文を受けてそのまま厨房に戻っていった。

「……何出てくるの?」

「お楽しみですー」

不安なお楽しみもあったものである。

「ところでニンゲン」

悪魔がキリっとした表情でこちらに尋ねてくる。

「なに?」

「上野、中野があるのに東京に大きな地名で下野が無いのはなぜでしょう」

「……確かに」

いや、どうでも良いんだけど。

「おまちどうー」

そんなくだらない話をしている間に料理が出来上がったようだ。

「ありがとですー」

「ラーメン?」

出てきたのは変哲もないラーメン。

これがわざわざ誘った料理?

「いただきますですー。ニンゲン、伸びちゃうですよー?」

はふはふとラーメンをすすりだした悪魔。

まぁ、奢りだから文句言いませんけど。

レンゲを取ってスープをひとすくい。

美味しい。

「え、美味しい。なにこれ、初めて食べる」

今まで食べたことのない味。

しいて言うなら、カモ出汁に近い気がする。

「気に入りましたー?よかったですー」

にっこりとほほ笑んで上に乗っていたチャーシューを口に運ぶ悪魔。

私も同じくチャーシューを頬張る。

「コレも美味しい。全部こっちの食材じゃないよね」

食べたこと無い味の連続、連れて来てくれて素直に感謝する。

「ちなみにコレなんなんですか?」

「それ?グリフォン」

箸が、止まった。

「ちなみに天然はもっと美味しいんだけどね。さすがに命がけになっちゃうし」

「養殖グリフォンの味も上がりましたよねー」

あははーと朗らかに話すふたり。

ぐりふぉ……え?ぐりふぉ?


帰りの電車、いまだにショックの抜けない私。

「ちなみにあのラーメンこっち換算いくらなの?」

「780円くらいですかねー?」

やっす!?グリフォンやっす!!

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