悪魔がウチにおりまして・461
ウチには悪魔がいる。
熱でぶっ倒れている悪魔が。
「ニンゲンー、苦しいのですー」
体温計を回収するとなんと53℃。
そんな温度、計れたのね。
クモがやかんにたっぷりの水を入れて悪魔の頭に乗せた。
「クモちゃん、優しいので……」
「クモー。50℃じゃお湯沸かないよー」
やかんをそっと下ろし、タオルを乗せ直すクモ。
「前言撤回なのです……」
このクモも毒されてきたわね。
しかしいきなりそんな高熱を出すなんて。
「昨日メカクマとどこ行ってたのよ」
昨日判明したメカクマの機能、空を飛ぶ。
旅の最中に自己改造を繰り返し、ついに空を飛べるようになりました!どこを目指しているのかさっぱりだ!
「えっと、息ができなくなったので戻ってきたんですけど」
……コヤツらに常識を求めたのは間違いでした。
ちなみにメカクマは既に旅だった。
『ややっ!?地球の39995キロ先に助けを呼ぶ声が!』などとのたまい、足早に去っていった。
ほぼ、地球一周しているのである。
「ミミ殿、これに懲りたら大気圏突入ごっこは避けるべきかと」
「ちゃんと雨合羽着たですよ、すぐ溶けましたけど」
それはそうだろ。
「ニンゲン殿、居候がひとり消えても構いませんか?」
「やめなさい」
さすがに止めた。
顔の上に濡れたタオルを乗せる狐。
ねぇ、それ窒息しない?
「この愚か者にはいい薬でしょう」
狐、怒ると見境ないからなぁ。
「苦しいー、せめて空気穴ー」
窒息の危険は気にしないのね、この子は。
「さて、ニンゲン殿。お昼にちましょう」
「そうは言うけど、今日お昼の材料ないわよ?」
買い物して買ってくる予定だったから。
「呼びましたか」
クローゼットから段ボールを持って現れるモグラ。
読んでないけど、いいタイミング。
「ぽんちゃん、良い間です。何を持ってきてくれたのですか?」
モグラはふふんと鼻を鳴らす。
「どうです、立派なイチゴでしょう」
箱の中にはぎっしりとイチゴが入っていた。
それを見てうぱは大喜びである。
「ぽんちゃん、イチゴはご飯にならないのですよ?」
「ご飯を持ってきたわけじゃないんですが」
ウチではイチゴが並んでいる。
「ニンゲンー、コンデンスミルクもー」
「寝てろ、お前は!」




