悪魔がウチにおりまして・451
ウチには悪魔がいる。
そういえばずっとウチに居た悪魔が。
「悪魔ー。アンタ帰省しないの?」
別に帰らなくても良いんだけど、里帰りはしないのかな、と。
「に、ニンゲン……ボクらのことそんな風に思っていたですか……寄生しているなんて!」
悪魔の言葉を聞いて洗い物をしていた狐がスプーンを落とす。
「ニンゲン殿……?某たちをそんな目で……」
「里帰りの方の帰省ねー」
さすがに新年からこんなくだらないことでしばきたくないのよ。
「……某は信じておりまちた、おりまちたとも」
半泣きで言っても説得力が無いのよ。
「ボクはそっちってわかってました」
つまり狐に延焼させたんかい。
結局新年初しばきをする羽目になりました。
「某たちは新年帰ったら邪魔になりますので」
そっか、狐の故郷は年末年始忙しいのか。
「ボクは、遠いのでー」
宙吊りになっている悪魔は微妙に回りながら答える。
「クモちゃん、下ろしてー。違うですー、突かないで欲しいですー」
クモとうぱは吊るされた悪魔を棒で突いている。
止めはしませんよー、反省なさい。
「こんにちは……おや、ミミ君。新しい趣味に目覚めましたか?」
羊が悪魔を見て若干引いている。
「ないですー、助けてー」
「羊、しばらく吊るしておいてー」
「今年も通常運転で安心しました」
当然のように羊は助けるでもなく、テーブルに座る。
「裏切者ー、助けろー」
おう、敗北者の嘆きが気持ちいいのう。
「ニンゲンさんも邪悪な笑い方をするようになりましたねぇ」
「おん?」
「さぁて、お茶を飲みましょうか」
逃げるようにキッチンに向かう羊。
「羊殿ー。某もこーひーをー」
なんか、この子もふてぶてしくなったわね。
「クモちゃんー、カステラくださいー」
アイツはアイツで吊るされたままお菓子要求してるし。
「なんだか、平和ねぇ」
羊がコーヒーを入れるまで待ったり座っている。
「ですね、にぎやかです」
まぁ、住んでる子は増えてないけどなんか騒がしくなった。
「うぱちゃんー、しっぽは引っ張らないのですー」
「そういえば、あのおウチ、そろそろ直るのでは?」
……それよねぇ。
「某としてはこのまま住んでいてくれて構いません。税金対策になります」
嫌な理由だなぁ。
とりあえず、保留かな?




