悪魔がウチにおりまして・450
ウチにはクマがいる。
本当にどうしようかしら。
「というわけでクマのイノちゃんです!」
「くまっ!」
どういうわけなんだわ。
「ミミちゃん?某も知らぬお友だちなのは良いのですが」
狐、露骨にビビっている。
サイズはそんなに変わらないんだけど、やっぱり怖い?
「あれー?ごんちゃんと会ったことありませんでしたっけ?」
「くーまー」
クマ手でバッテンを作る。
「そうですかぁ。イノちゃんですよー」
2度も言うな、そこは大きな問題じゃない。
「とりあえずどうします?猟友会の番号調べます?」
羊、そのスマホをしまいなさい。
「いい?悪魔、こっちの世界でクマは猛獣です。普通に歩いていたら通報されます。お山に帰してあげなさい」
「私が来るまで気付かなかったので大丈夫かと……はうっ?」
おやぁ?羊の頭に針が刺さってるぞう?
「ひ、羊さんー!!」
「くまー!?」
2匹は揃って羊に駆け寄る。
「……どうする?狐ちゃん」
「どうするとはどういう意味で?」
このクマに帰ってもらうか、このウチに置いておくか。
「帰ってもらいましょ」
即答過ぎる。
「そもそも、喋れない者がこちらに居ると危ないのです。こみゅにけーしょんが取れないと狩られてちまいます」
まぁ、クマだし。
「そのため、こちらで生活をするには言葉の習得は必須。イノ殿はまだおしゃべりができない様子。素直に危ないのです」
まぁ、クマだし!
「そんな!せっかくイノちゃんが遊びに来たというのに!鬼!悪魔!」
悪魔はアンタじゃ。
「ボクが守るのです!ほら、撃って良いのは撃たれる覚悟があるのです!返り撃ちです!」
やめなさい、その前にアンタを仕留めることになる。
「くーま、まま」
「……え?遊びに来ただけ?もう帰る?また来るです?」
クマの方が聞き分けいいぞ?
「それなら、また来るのです。今度来るときはちゃんとしたおもてなしするのですー」
「くまー!」
バンザイして喜んでいる。
……また来るのね。
クマを見送っている。
「あの、私が一番被害受けてま……ひんっ!?」
羊の頭の針が増えてますが知りません。




