悪魔がウチにおりまして・449
ウチでは平穏がある。
正月くらいそうゆう時もあるでしょう。
朝、こたつに入りながらぐてってる。
「平和ねぇ……」
「くまぁ」
「悪魔もそう思うわよねぇ……」
「くまくま」
こんななんの変わりもない日々が続いてくれればいいのに。
「ニンゲンさん、今日も自堕落な……あれ?」
クローゼットから出てきた羊が両目を擦っている。
「なぁに?せっかく平和なのにケンカ売りに来たの?」
「くまぁー」
珍しく悪魔も同意している。
「ニンゲンさん、つかぬことをお聞きしますが」
神妙な顔でこちらを見つめる羊。
「お隣にいる方はどなたで?」
変なこと聞いてくるわねぇ。
「ここにいるのは悪魔に決まってるでしょ、ねぇ」
隣に座る毛むくじゃら。茶色い毛、つぶらな瞳。
「……クマです」
「ですよね」
「くまぁ?」
猛獣がこたつに入っていた。
「えーっと?私が指摘するまで気にしてなかったと?マジで?」
羊が言葉を崩すくらい動揺しているのは伝わるし、なんなら今の今まで気付かなかった自分に驚いて返す言葉もない。
「くまくま」
おい元凶、肩を叩くんじゃない。
「コレ、アンタらの知り合いってわけじゃないの?」
家に居た羊、クモ、うぱに聞くが一様に首を傾げた。
つられてクマも首を傾げる。やめろ、それは煽りだ。
「少なくとも私たちの同類じゃないですね、話せない悪魔族見たこと無いでしょう?」
そうか、クモとかは話せないけど種族が違うのか。
「となるとノラのケモノ?」
「そんな畑耕す勢いで猛獣居られても」
狐、この状況での正論は毒なのよ。
「どうします?保健所?猟友会?」
「容赦ねぇな」
「くま!?」
狐の言葉で私を盾にする。少なくとも言葉を理解していることがわかった。
「ミミ君はどこに居るんです?このままだと今夜クマ鍋ですよ」
「くまっ!!??」
涙を浮かべながら羊の反対に逃げるクマ。少し可哀そうになってきた。
「ただいまですー。あー、イノちゃんこっちに来てたんですー?」
やはりお前の関係者かい!!!
ウチにはクマがいる。
「結局アンタなにもの?」
「くーま」




