悪魔がウチにおりまして・43
ウチにはウーパールーパーが居る。
私にしか見えない、うぱが。
「うん、ちょっと問題がね。忙しいの分かってるけど、来れない?」
私が電話している様子をうぱが心配そうに覗いてくる。
キミの相談だからね?
さて、どうしたものか。
目の前で空に浮かぶうぱ。
これが悪魔やクモ、狐に見えるなら別段問題ない。(いや、大問題だけれども)
だが私にしか見えない…なんならあの羊にすら見えないならこれはこれで新しい問題でしかない。
早めに対処して安全を確保しないと。
ところで、この羊の置いていった角、これどうしろと?
目の前で自分の角へし折る羊はなかなか衝撃だったが、使え、て。
アンモナイトのようにぐるぐるの、マンガで見る羊の角。
この時点でふざけているのだが、さも当たり前に渡されても、ねぇ?
うぱが角に近づいて首を左右に振っている。
「あぶないから、近付かないの」
さっと角を取って距離を取らせる。
待て?この生き物の相談するために悩んでるのに心配?
不思議な感覚に見舞われながらも角を再び畳の上に置く。
腕を組んで悩んでいると再びうぱが角をつつく。
その時いきなり角が振動を始める。
うぱが驚いて私の陰に隠れる。なんでや。
振動する角を物差しでつついてひっくり返すと渦巻の真ん中が光っている。
え?コレ光っている部分触ったら爆発とかしない?
しばらく見守っていると、振動がいったん止まる。
…?
また震えだす。
これってもしかして…?
「人が電話かけてたら、出るのがマナーですよ?」
そんなこと言いながら畳から生えてくる羊。
やっぱりスマホかよ!
「ウーパールーパーが飛んでいる?そんな常識外れな」
角をスマホにしている羊にそんなこと言われたくない。
「実際我らだけでなく、クモにも狐にも見えていなかったのでしょう?全ての種族から身を隠せる存在なんてありえません」
キリっとしてるところ悪いけど、今うぱに頭の毛引っ張られているからね?
そんな最中、玄関のチャイムが鳴って扉が開く。
「可愛い妹のお願い、聞かないわけには…あらぁ」
私にとって最強の助っ人、コハクお姉の参戦に羊が瞬時に青ざめる。
今回は、祓っちゃダメよ?
ウチが戦場になるかも知れない。
原因のうぱは首をかしげて笑っているのだが。




