悪魔がウチにおりませんで・443
うぱは考えていた。
「そろそろ話したほうがいいのでは?」と。
今回はうぱと話せる子たちが出てきます。
普段は喋らない子たちの会話をお楽しみください。
「うぱちゃん、どうしたの?」
ボクが悩んでいると後ろからクモちゃんが話しかけてきました。
「ボクもそろそろ言葉を覚えたほうが良いかなって思って」
みんなはいつも楽しそうにお話してるけど、ボクは参加できないから。
「そうかなぁ?いつも結構下らないことだと思うけど」
クモちゃんが普通に毒吐いてる……。
「そういえばクモちゃんもお話してないものね」
「そうだねぇ、そもそもボク声出せないし」
クモちゃんが声を出せないのにボクとお話しているのはきっと不思議な力があるはずだ、たぶん。
「お話しできたら楽しいよ!ミミちゃんとか、メノさんとか!」
手をいっぱい振ってみるけどクモちゃんは8個ある目を全部細める。
「ミミちゃんとお話するとあたまぽーんってなるよ?なんか常識が違うんだなぁって感じ」
本当はもっと強く言いたいんだろうな、クモちゃん。
「クモちゃんでもわからないの?」
「うん。羊さんとか牛さんとかはやっぱり大人なんだなって」
ふぅっとため息を吐きながら自分の分身をあやしている。
「クモちゃん、また増えたの?」
「うん、なんか定期的に。先輩たちからは『それも修行だ。全員を統べろ!』とか言われてるから頑張る」
力が増えると分身が増えるって大変だなぁ。
「そうです、自分の分身を統べてこそ虫の頂!クモさん、お茶貰いに来ました」
ひょっこりとイモ虫さんが来た。
最近メノさんがいないときによく来てる。
「ボクに頼まなくても自分で煎れられるでしょー?」
「ヒトに煎れてもらうのが美味しいのです。うぱちゃんも分かるでしょー?」
「ボクはお父さんから自分でできることは自分でやりなさいって言われてるから」
イモ虫さんは困ったような顔になる。
「そういえば意外と厳しく育てられてるんでした。仕方ない、パパさんに免じて自分で煎れてきます」
クモちゃんがため息を吐く。
「なんか普通に来てるけど、良いのかなぁ。一応災厄なんだけど」
「そうなの!?気のいいおじさんだと思ってた」
ボクの言葉を聞いてクモちゃんは目を細めてしまった。
「逆におじさんってわかるのがすごいけどね」
「結局お話できなくていいんじゃなーい?」
キッチンからイモ虫さんの声が聞こえた。
「むぅ、来年、来年頑張る!」
「それ、来年もやらないでしょ」
クモちゃんはため息を吐いてしまった。




