悪魔がウチにおりまして・439
時系列はこの後になります。
https://stand.fm/episodes/6580017f2caa00005a046434
ウチには牛が居る。
大きなマスクを着けている牛が。
「うーしがこんこん、お熱もこんこん」
牛が歌いながら入ってくるのを是非ともお帰り頂けないのか考え中。
「牛さん、風邪ですか?」
「ええ、軽いインフルですので問題ないんですが」
問題大ありだろ!
「牛、それなら家で寝てなさい。迷惑です」
「ニンゲン!牛さんは1人暮らしなんですよ!熱もあるんですよ!どうします、熱で焼けて夜冷えてローストビーフになってたら!」
「ミミさん、私食べても美味しくないですよー。あと熱はありません」
牛が悪魔の頭を持って吊るし上げている。
まぁ、食材扱いされたら怒るわな。
「それに寝てても栄養が摂れません。ここに来ればご飯が……なんできりたんぽ?」
それは悪魔に言ってくれ。
「じぃざす……クリスマスだというのになぜ米巻きを食べねばならぬのか……」
さてはコヤツ、体調と口の悪さが反比例だな?
「おじさんが来たのですー、でも食べて行かなかったのですー」
なんか忙しそうだったし。
「牛、きりたんぽが嫌ならこれがあるわよ?」
「……いぶりがっこ単体って身体に悪そうですけど?」
一気に東北風味になる我が家。
「牛さまー!お身体!大丈夫ですかぁ!」
ドアが開く音がしたと思ったら羊の担当・溝口が不法侵入してくる。
きりたんぽをかじっていた羊が瞬時にクローゼットに逃げ込んだ。
「担当!どうやって入ったですか!?」
「ピッキングしました!」
清々しい自白をするんじゃない。
「牛さま、そんなに体調を崩されているのであれば、我が家に!しっかりと温めて差し上げます!」
よだれを垂らしながらにじり寄る担当、明らかに下心しかない!
「えっと、真面目に今日は勘弁です」
「遠慮せずにー!!!」
アルセーヌ3世よろしく、牛に飛びかかる担当。
「ご遠慮でーす」
牛はヒヅメでひし形を作ると光が担当を包んでいく。
その光を浴びたところから担当がするすると消えていく。
「う、牛?担当さんをどうしたの?」
「さすがに相手する体力無いので。あの人が思い浮かべていたところに飛ばしました」
「は、はぁ……」
後日、担当は職場のデスクで一晩を明かしたということを愚痴られたのだった。
「クリスマスだというのに騒々しいのは変わりませんねぇ」
牛がため息を吐きながら鍋のスープをすするのだった。
ウチでは鍋パーティーが始まる。
「人の仔ー。うどん持ってきたよー」
神ちゃん?炭水化物重ねないで?




