悪魔がウチにおりまして・42
ウチには不思議な生物がいる。
際限なくなってきてますけどね?
「ただい…ま?」
「ニンゲン、おかえりなさい。今日はスンドゥブですよー」
また妙なところをチョイスしてくること。楽だけど。
じゃなくて。
「あんた、なんで?」
「え?ニンゲン、辛いのダメでしたっけ?」
「宿主殿、ダメですよ、好き嫌いは」
それはその鍋持ってる子に言いなさい。
「狐ちゃんも、平気なの?」
「なにがですか?」
悪魔とそろって首をかしげる。
ちらりとクモに目をやると同じく首を左右にかしげて私の言葉の意味が分かっていない様子。
「羊ー、聞こえてるんでしょ?ラム肉持ってくるならスンドゥブあげるよー」
「そのセレクトはチゲには合わないでしょう」
羊はそう言いながらホルモンのパックを持って畳から顔を出してきた。
羊をじっと見て居るとそのまま畳の中から出てこない。
「…私を食べても美味しくないですよ?」
食べません、本当に美味しくなさそうです。
「いいから出て来なさい。確かにホルモン入れたら合いそうだし」
ホルモンを受け取ると狐ちゃんに渡して洗ってもらう。
このホルモンがなんのモツなのかは気にしてはいけない。
「しかしわざわざ呼ぶなんてどういう風の吹き回しですか?」
ちゃぶ台中央に鍋を置き、つついていると羊が出し抜けに尋ねる。
「あー、、ほら、この前カラオケ代出してくれたし?」
あれだけ大量に頼んだ食べ物をすべて平らげたのだから当たり前ですけどね。
「ニンゲン、ヤギさんとご飯食べたかったのですか?」
「宿主殿も寂ちがりですね」
狐、めっちゃふーふーしてる。
そうかもねーと曖昧に返事をしておこう。
さすがにクモと羊は納得していない様子だ。
しかし追及してこないことを見ると、空気を読んでくれたらしい。
「ごちそうさまでした。今日は帰ります。何かありましたらコレを渡しておきますね」
羊は片方の角をパキンと取り外すと、渡してくる。
「…変なこと言わないの、ほらさっさと帰んなさい」
「取れたのですね、角…」
悪魔も知らなかったの!?
さすが羊。
それなりに立場がある。
言外の読みもしてくれている。
何かあるかも知れないって感じ取ってくれたのだ。
ウチには今、私にしか見えない生き物がいる。
ふわふわと浮かぶ…なんでウーパールーパーかなぁ?
 




