悪魔がウチにおりまして・434
ウチでは取り組みが行われている。
取り組みって言うか、取り込み?
「ひがぁぁぁしぃぃぃ。神の山ぁぁぁ。にぃぃぃしぃぃぃ。担当が海ぃぃぃぃ」
「悪魔、やめなさい」
その軍配はどこから用意した?
「ニンゲン殿、余所でやってもらえないのですか?」
「狐ちゃん、黙りなさい」
当人たちが居るんだぞ。
「私、なんで正座なのでしょう」
「捌きますよ、羊」
アンタが!今回の!原因!
最近寂しい思いをしている神ちゃんと、羊が作家をサボっていたせいで仕事の鬼と化した担当、溝口さん。
その間で正座をしながらキーボードを叩き続けている羊。
なぜかその痴話ケンカ……もとい取り込みがウチで繰り広げられることになったのです。
「どうもー。いつも主人がお世話になってますー」
まずは神ちゃんのつっぱり!そのこめかみにぶっとい血管が浮いている!
「溝口さん、こちら妻で」
「マトン、手を動かしなさい、ひき肉にすっぞ」
担当!行事を殴ったー!痛い、これは痛い!
「あのぉ?私の旦那脅すのやめてもらえますぅ?」
神ちゃん、目が笑ってないぞぉ!?
「ニンゲン、なんか楽しそみぎゅ!?」
なぜか観客の悪魔が悶絶してる!事故だ、事故なのだぁ!
「奥様ですか。私こういう者です」
担当さん、遠慮なく名刺を出して頭を下げる。
なんでそこ常識的なムーヴするのさ!?
「奥様、あなたの旦那様は締め切りを守らないのです。私、編集部でいつもちくちくイヤミを言われて。内容がいいので連載は残ってますが、そのしわ寄せが私に来ます。今回、前もって、前もってスケジュールを確認していました。順調と言われて安心してました。今日原稿を受け取りに来ると20ページ白紙です。コレ、キレないの無理じゃないですか?」
そして神ちゃんの目線が徐々に羊に移っているぞ!
「ねぇ?」
「はい」
「ウソついたの?お仕事で?」
「悪魔ですので」
「もしかしてクリスマス忙しいのはそのせい?」
「そっちは本業です」
「原稿は本業じゃないと?」←担当
「今からでも余所でやってもらいません?」←狐
あー、ややこしい。
「原稿は書けそうなんですか?新刊は出るのですか?」
お前もファンの意見を入れるな。
ウチでは修羅場っている。
原稿と、離婚の危機。
「なんか面白い雰囲気ですねぇ」
だまらっしゃい、牛!




