悪魔がウチにおりまして・427
ウチに帰るとイモ虫がいた。
殺虫剤はあったかしら。
「ボクをノータイムで駆除を考えるって噂通りですね」
私を見てイモ虫は余裕の表情。
虫の表情を読めるようになった自分に嫌気がします。
「なんでそんなくつろいでるわけ?」
そう、イモ虫がただ居ただけで殺虫剤を探しません、顔見知りですし。
目の前に居るのはサングラスをかけて、ビーチチェアに座り、クリームソーダをすすっているイモ虫が居たのだ。
「ニンゲンさんの疑問はわかります。なんでこの寒いのにクリームソーダを飲んでいるのか気になるのですよね」
真面目に言ってるのか、ボケているのか全く分からない。
おもむろにキッチンに行って霧吹きに牛乳を入れるとイモ虫に吹きかけてみた。
「臭くなるんでやめてもらえます?まぁ、ボクの家じゃないですけど」
……アブラ虫はこれで退治できるはずなんだけど。
「アレって呼吸器がアブラで潰れるからなんですけど。ボク鼻呼吸です」
なんで虫なのに鼻呼吸してんだよ。
「まったく……」
イモ虫はハンカチを取り出して顔を拭いている。
まてまて。
イモ虫の脚の長さでなんて顔をハンカチで拭けるんだよ。
目に見えてる長さはちゃんと身体相当の脚だぞ。
「細かいことは気にしてはいけません。そもそも悪魔たちに整合性あります?」
コイツ、絶対友だち居ないわ。めっちゃムカつくもの。
「なんですかー、その目ー。四足歩行は良くて多足歩行はダメなんですかー?足減らしますよー?」
これ以上キモくなるの、やめようね?
なんなら速やかにこの世から消えて?
「帰れなのか死ねなのか分からないので反応に困るんですけど」
「どっちでも構わないわよ」
虫と話している自分に違和感を覚えなくなったことは重症なのだろう。
あ、そうだ。
「モグー!」
「タヌキです。泣きま……ほう?」
呼んで3秒、コレもどうなのだ?
ただ、呼ばれた理由を察したのか、目を光らせるモグラ。
イモ虫はいつの間にかかぶっていたシルクハットをはぁい!してる。
「ニンゲンさん、ありがとうございます。……まったく、ヤツといい、キミといい、自由に遊びまわるのは勘弁してほしいですね」
……なんか、聞いておかなきゃいけないこと言ったよね。
「コイツ、この前のじゃないの?」
「兄がお世話になってます。ちなみにボクは次男でボクのほかに99匹の兄弟が」
「1匹くらい仕留めても良いわよね?」
「無駄です。こいつら分裂するので」
モグラ、なんで雇ってるの???




