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悪魔がウチにおりまして・416

悪魔がポテチを食べている。

そういえば最近ヤツを見ないな。


「悪魔。最近羊見た?」

ウチに居るのは悪魔だけではない。

よく来る最悪の意味で空気を読まない牛のほかにもう一匹。

えーっと会社をクビになって社長になって神と結婚した羊。

こうして話してみると情報が渋滞してるね。

確かに疎ましい、悪魔と輪にかけてめんどくさい。

「なんか邪心を感じます」

そんな疎ましい羊もこれだけの期間来なければ心配になるのが人情というものよね。

「ミミ殿、この国には『雉も鳴かずば撃たれまい』という言葉があってですね」

なぜが虚無の目です巻きにされている悪魔に向かって諭す狐。

大丈夫、口と鼻は塞いでないから。

「で、羊最近見ないけど何か知ってる?」

「あー、羊さんですかー。星になったですけどー」

悪魔は不貞腐れながらシレっとこぼす。

……そ、そんな。

「悪魔、それって本当なの?」

「ウソつくとまたコブが増やされます。出てってやるです」

ちょうどいい椅子に座りながら顔から体温が下がるのを感じる。

「星って、そういうことだよね……」

「ニンゲン!ミゾオチ、ミゾオチに尾てい骨刺さってます!」

呻く椅子が騒いでいるときに神ちゃんが飛び出してくる。

「人の仔ー。カキフライ食べたーい!」

ねぇ、来て早々カキフライねだる小娘を敬わなきゃいけないの?

「あれー、ミミちゃんどうしたのー?新しい趣味?」

「神ちゃん、この物語はお子さまでも楽しめる話を目指してるらしいです。無理なのはみんなにバレているのに言い張ってます」

やめい、泣く人が出る。

それよりも羊が死んだってことは……。

「神ちゃん、この度はご愁傷様……」

旦那が亡くなったのなら神とて悲しいはずだ。

「ん?人の仔。誰か死んだの?」

しかし神ちゃんはきょとんとして首をかしげる。

「ニンゲン?何を言ってるです?」

おい、言った本人じゃろう?

「ニンゲンさん、そんなしんみりとしてどうしました?」

クローゼットから出てきた羊に悪魔を掴んでぶつけてしまう。

「成仏してください!!!」

「なんで!?」

「だってあなた死んだでしょう!?悪魔が星になったって!」

慌てる私に神ちゃんが手をポンっと打ち。

「ダーリン、未開惑星の調査に行って、そこに自分の名前付いたよね。星になったよね」

あーくーまー!?


ウチにはもこもこの椅子がある。

「コイツ、害悪でしかない気がする」

「ギブギブギブ!三人は潰れるですー!!!」

狐は静かにため息を吐くのでした。

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