悪魔がウチにおりまして・412
ウチには闇のモノがいる。
今回は物理的なお話。
仕事から帰ると部屋が真っ暗であった。
「悪魔、なんで電気付けないのー?」
「ニーンーゲーンー」
悪魔が顔の下から懐中電灯を当ててお出迎え。
その顔に持っていたバッグをお出迎え。
悪魔は後ろにノックバック。
「ニンゲン!?なんでこんなにバッグが重いのですか!?」
「知らないの、悪魔。この世界ではバッグの材質に鉛を使っているのよ」
「マジで!?」
鼻血ブーしている悪魔が驚きながらバッグをしげしげと調べている。
んなわけないでしょう、今日たまたま本をたくさん買ったのよ。
「で、なんで電気を付けないの」
「停電です。実は……」
今日の昼過ぎ、いきなりビル自体が停電したそうだ。
その理由は狐が配線を切ってしまったことが原因らしい。
「だって、だって……切らなきゃいけない配線とびにーるてーぷの色が逆だったんです……」
狐はえぐえぐ泣きながら焦げた尻尾をとかしていた。
次から業者を頼もうね。
「しかし、いきなり電気が消えた時にはどうしようかと思いました。せっかくソリティアのハイスコアを更新するときでしたのに」
仕事しろ、羊。
「ところで由々しき問題が。ニンゲンさん、ガスが点きません」
なんでよ?牛!
「ガスコンロ、着火の時に電気を使うんです。機種によっては乾電池らしいんですけど、この家はコンセントから引っ張ってました」
つまり今日はガスを使った料理が作れない。
「ならレンチンすればいいじゃない」
「これからニンゲンさんは失敗トワネットと呼びましょう」
焼肉にしますよ?
「ニンゲン、そのレンジの電気はどこから用意するのですか?」
……さて、今日のご飯はどうしましょう。
「ニンゲン、自分の失敗をごまかすの良くないですー」
「ごめんなさい」
みんなが頷いたので話を進めよう。
「やっぱり外に食べに行くしか……」
「それでも良いですけど、この時間でお店やってます?」
スマホの時計を見ると21:30分。確かにギリギリである。
「最悪、コンビニでいいんじゃない?」
「ニンゲン……この寒いのに冷たいモノを食べないとだめですか……?」
家で温められない以上、家に着くころには冷めてしまう。
……なんでみんな気付かなかったのだろう。
「……悪魔、アンタ電気出せなかったっけ?」
『あっ』
ウチには電気が戻った。
具体的に鼻コンセントですが。
「こんな姿、お嫁にいけない!」
予定ないだろう。




