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悪魔がウチにおりまして・411

ウチには悪魔が居ない。

さっきから行方不明です。


見つかりました。

アクマイマイの中に居るでしょう。

アクマイマイ……それは悪魔を喰らう恐怖のカタツムリ。

寒い時期になると現れる正体判明の謎のカタツムリ。

ひとたび悪魔を中に取り込んでしまうと脱出困難な……。

「ニンゲン、なに1人でぶつぶつ言ってるですか?痴呆ですか?」

な、なんとアクマイマイが喋ったー!

「……この寒い中アホなことを言える余裕は羨ましいものです」

なんだとこの悪魔!

ここでネタバラシすると悪魔は寒い時このカタツムリ型寝袋に引きこもる。

寒いのが苦手過ぎて、ここに入り込むとなかなか出て来なくなる。

これは我が家の冬の風物詩である。

「ボクを季節ものにしないで欲しいのです」

寒いと不機嫌になるからさっきから言葉が刺々しい。

良いのかなぁ、悪魔よ。

ウチの食事の権を握っている私にそんな態度を取っても。

「ニンゲンさん、晩御飯は何ですか?青椒肉絲?ハンバーグ?」

牛がひょっこり顔を出して、具体的には玄関から入ってくる。

いや、それでも良いんだけどアンタ共食いでしょうよ。

「だから別に私、牛肉じゃないので共食いにならないんですよ」

牛が頬を膨らまして抗議をしてくる。

1ミリも可愛くないんですよ、それ。

「あれ?ミミさんは?」

「あぁ、アクマイマイして……あれ?」

悪魔は微妙にズレている。

試しに玄関を開いて、風を入れてみるとさらに部屋の奥に移動する。

回り込んで反対の窓を開けると玄関側に動く。

……器用なことしている。

「なるほど。だから私を呼んだ、と」

「ええ、牛さん。頭の回転が良い方は好きですよ」

くっくっくとふたりでほくそ笑む。

「ではニンゲンさん、行きましょう」

「そうですね、牛さん……ファミレスへ」

「みー!?」

そう、引きこもっている悪魔を置いて、外にご飯を食べに行くことにしたのさ!

寒いのは私も一緒!それくらいでトゲトゲ言葉を使うなら懲らしめてやりましょう!

「に、ニンゲン!卑怯です!」

「おーほっほっほ!悔しければそこから出てくるがいい!」

「ニンゲンさん、それ悪魔のセリフです」

牛、黙りなさい。

アクマイマイは震え、悪魔がダンっと足を踏み出す。

「ニンゲン!それとこれは……いやん、寒いん」

それだけ言うと悪魔はマイマイに戻っていった。


ウチには悪魔がいる。

「テイクアウト、何がいいー?」

「天丼!」

……ファミレスにあるかなぁ?

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