悪魔がウチにおりまして・409
ウチには悪魔がいる。
最近甘やかしていた悪魔が。
「ただいまー、悪魔今日の晩御飯はー?」
仕事から帰ると悪魔がマントとマスクと付けて仁王立ちしていた。
「悪魔?ボクはそんなものではないのです!ボクの名前はスモール・ザ・ジャイアント!世界をまたにかけるプロレ……みきゅっ」
いい角度でこめかみに膝が入ったわね。
まぁ、大丈夫でしょう。
「ニンゲン……久しぶりのDVは辛いのです……」
そうなのよー、DVっていうのはするのもされるのも辛いのよー。
悪魔はその場で沈んでいった。
「まさか、悪魔がそのまま目覚めないとはこの時の私は思っていなかった」
「目覚めます!不吉なこと言わないでください!」
ちっ、静かになったと思ったのに。
「ところでその衣装どうしたの?」
「ヨモギモチ配ったらお礼にって!カッコいいでしょー?」
「あー、あの悲鳴モチ」
「ニンゲン、時々ネーミングセンスに悪意があります。命名の悪魔の名前を冠してます」
おーい、それを今言うー?
絶妙にツッコミに迷うぞー?
「しかし、ずいぶんとダサ……個性的なプレゼントされたね」
「悪意です!コレをカッコいいと言わず何がカッコいいのですか!女の子にはわからないのですね!」
アンタもニンゲン体女の子でしょうに。
黒いテカテカマントと目を隠すマスクでしょ?
「そういえばなんで海外のヒーローって目を隠すんだろ?」
「あーそれは日本人の感覚です。むしろボクからしたら口元隠すのは悪役です」
……そういえば悪魔という存在は一応西洋文化だったね。
「その割にアンタ日本にかぶれてきてない?」
昨日あんこ煮てたし。
「ボクは比較的東西関係なく生きてますよー。ごんちゃんとかと付き合い長いし」
狐は間違いなく和風生物だもんね。
「悪魔的にはこの子どう見えるの?」
たまたま飛んでいたうぱをひっ捕らえて悪魔の前に抱きかかえる。
……取って食わないから震えないで。
「……うぱちゃんには触れないようにしてます。理解しちゃいけません。そもそもウーパールーパーは飛びません」
それを言ったらおしまいなんだよなぁ。
うぱを解放するとロフトに飛んでいってクモに何やら言っている。
見下ろすクモの目が冷たい。
なんでよ!?何もしてないじゃない!
ウチには悪魔がいる。
「ニンゲン殿、うぱちゃんからくれーむが来てます」
なんでよ!?!?




