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悪魔がウチにおりまして・407

ウチには悪魔がいる。

寒さに滅法弱い悪魔が。


「おでんでんででん、うどんどんどどん」

悪魔なりの低い声でリズムを刻みながら歩いてくる。

どちらかに絞りなさい。

「ニンゲン、おでんもうどんもニンゲンの世界の極寒を乗り越えるためのライフラインですよ」

過大評価が過ぎませんか?

ちなみに今日の晩御飯冷やし中華なんだけど。

「ニンゲンは愚かですか!?今の気温何度だと……22度、だと!?」

家にある温度計を見て目を丸くする悪魔。

気温的には冷やし中華であってるじゃない。

「なんでぇ?昨日まで10度切ってたのにぃ?」

うん、その疑問には同感だけど気温がバグってることに逆らっても仕方ありません。

そしてそうめんにしなかったことを崇め奉るがよかろう。

「ニンゲン殿、ちょっと怪ちい考えが浮かんでません?邪悪な気配がちます」

狐の麺の量は2/3にしましょう。

大丈夫、バレることは……。

「ちなみに、それがちは精巧な秤を持っていますので。独り言ですが」

……今日のところは勘弁してやるぜっ!

「ただいまでーす。なんか久しぶりにニンゲンさんのご飯を食べる気がします」

のっそり中の様子を伺いながら牛が入ってくる。

「そんな怯えながら入って来なくてもいいのに」

私の言葉に目を細める牛。

「ニンゲンさんも恐竜がいる場所には警戒するでしょう?」

私だったら警戒以前に近寄りませんが。

「牛さんが来た!」

スマホを取り出す悪魔に吹き矢を放ち悪魔は「みゅっ」言いながらその場に倒れてしまう。

「スパイは始末しました、ミミさんの分の麺はみんなで分けましょう」

「……悪魔生きてる?」

足で突いてみるとがばっと起き上がる。

「担々麵!」

じゃないよ、冷やし中華だよ。

「ち……今度はもう少し強い薬を用意しないと」

牛、怖いことを言わない。

「牛さん、抗議します!具体的には専務に査定を……」

そんな時に伝書鳩がひらりと手紙を持ってくる。

『ミミ。職務中毎日3時間も菓子を食べていたため先日の褒賞を返納すること ソロモン』

「がってぇぇぇむ!」


ウチには滝の涙を流す悪魔がいる。

牛が口笛を吹いているのは見えていないようだ。

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