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悪魔がウチにおりまして・406

「ようやく、準備が整ったな」

「はい、ようやく」

「貴様には苦労を掛けた」

「いいえ、私は信じておりました。魔王さまが地上を支配するその日を」

「その通り、やっと、やっとだ。愚かな者たちを蹂躙するときが来たのだ」

「……」

「どうした?」

「嬉しゅうございます。魔王さまが生まれた時からお供させていただきました。先代さまが勇者に討ち滅ぼされてからというもの、私めがお世話をさせていただいたことを思い出して」

「懐かしいな。その頃は私も幼かった」

「いえ、お父上が討たれたとき、必死に泣くことを抑えていらっしゃった。その時からあなたは間違いなくお父上を越える、私はそう確信いたしました」

「あぁ、ようやく悲願が叶うのだ」

「皆をまとめ上げた手腕、見事でございました」

「父が優秀だと苦労する。結局老人たちを納得させるには至らなかった」

「あなたの優秀さを理解しない老害は皆、死に絶えました。今こそご威光を示すときでございます」

「良いのか、先兵を努められるほど若くないだろう?」

「何をおっしゃいますか、ぼっちゃまが錦を飾るというのにおめおめと座して待つなどできましょうや」

「ぼっちゃんはやめてくれ」

「他に誰もおりますまい。今だけは昔のように呼ばせてください」

「……じぃ、苦労をかけた」

「ぼっちゃん……!」

「……さぁ、懐かしむ時間は終わりだ」

「はい、出陣ですね」

「うむ。今こそ、すべての世界を我が物に!」

「最後までお供させていただきます!」


「……あ、なんか踏みました」

原っぱでボール遊びをしていた時に悪魔が足の裏を地面に擦りつけた。

ちなみに人がほとんど来ないという理由で悪魔は悪魔だし、クモは走り回り、うぱはこたつで……こたつ、どこから出したの?

「そんな風に地面に擦りつけないの」

「だって、ばっちいですよ?なんかベタベタします」

「家に帰ったら足洗えばいいじゃない」

悪魔は気持ち悪そうに眉をひそめる。

「今帰りますー。なんかヤダー」

悪魔のワガママにも困ったものです。


ウチには手紙が届いている。

『地下世界の侵略を防いだ功績を讃え、褒賞を与える ソロモン』

「なんで!?」

貰うやつがビビる褒賞も珍しいよねー。

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