悪魔がウチにおりまして・404
ウチには担当がいる。
来るな、来るな。
「ニンゲン!担当が襲来です!」
悪魔の扱いも雑なものです。
「毛玉、せっかくカステラ持ってきたんですが、お預けですね」
「ニンゲン!お客さまにお紅茶を!」
お前が煎れろ。
「溝口さん、でしたっけ?今日はどうされました?」
さすがに羊のウチと勘違いはもうないだろう。
「先日は日田さん……もう羊でいいですね、の件でご迷惑をおかけしましたので……」
常識あるんだかないんだかわからないムーブをなさる。
「お気になさらず」
むしろ、あなたと接している状況のわからなさがご迷惑です。
「ニンゲン!お気にしてもらいましょう!カステラが!ほかにも届くかも!」
「これきりです」
悪魔が紅茶を持ちながら項垂れる。
どうやって持ってるの、それ。
「しかし驚きです。まさか悪魔ってこんなにざ……平穏な生き物なんですね」
ねぇ、今ザコって言おうとした?
「ですですー。このニンゲンの方が凶暴なのです、担当も取って食われないようにしてください」
とりあえず今日の晩御飯は貴様だけ白湯漬けな。
「まさか、あなたは人食い鬼……?」
「信じないでもらえます?」
何回転回った天然なんだろう、このお方は。
「ただいまですー。おやお客さんですね」
牛、少しは慌てなさい?
「……この方は?」
「悪魔で牛さんですー」
説明が雑ー。
「あの、牛さん。奥様は居ますか?」
距離感バグってるなぁ。
「すみません、お断りしまーす」
「なんでぇ?料理上手ですよ?テールスープの上澄み、ちゃんと捨てますよ?」
牛に向けて初対面で共食いを勧めるかぁ。
「そのチョイスだからでーす。このバーサーカー、誰です?」
「羊の担当さん」
「……マジですか?ニンゲン界の神秘ですねぇ」
あー、あっちの方と言われても納得する行動ではあるわね。
「牛さーん、結婚しましょー?毎日ハンバーグ作りますからー」
「草食なので遠慮でーす」
牛が地味に押されてる。すげえ。
「宝田さん、どうやったら牛さんシめられます?」
「本人の前で相談しないでくださーい」
それにせめて落とすって言いなさいな。
ウチには変なのが増えた。
「みたらし団子で協力しましょう」
甘味で仲間を売るんじゃありません。




