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悪魔がウチにおりまして・400

ウチには悪魔がいる。

喉をガラガラにして帰ってきた悪魔が。


「ニンゲン、ただいまですー」

「どうしたの、悪魔。干からびた声じゃない」

あまりにも枯れた声で、一瞬悪魔とわからなかった。

「カラオケに行って来たのですー」

次の瞬間に元の声に戻っているあたり話題を振るためだけにしゃがれた声を出していたことが判明。

「カラオケ?羊と?」

「知らない人ですー」

危なすぎるだろ、その状況。

この子、自分が悪魔ということを忘れてないか?

「ダメでしょ、悪魔。あんた正体バレたらどうするの?」

まぁ、バレたところで何か困ることがあるのかって聞かれたら別に私に困ることはない気がする。

「んー。その人にバレても問題が無いというか、むしろバレてるというか」

悪魔の言葉が妙に歯切れが悪い。

ていうか、バレてんの!?

「知らない人なのになんでバレてんのよ、初対面なんでしょ?」

悪魔はアゴに手を当てて首を傾げる。

「初対面というか、いつも一緒というか……」

それ、完全に矛盾していること気付いてる?

「初対面でいつも一緒?赤い白みたいに矛盾して……」

「初めまして、いつもお世話になっております」

……ダレ?

確かに初対面だけど、いつもお世話になっているような気がしてたよ。

「私、庵野雲あんのうんと申します」

……はい?え、いいの?

なんかヤバイ壁を越えてしまった気がするんだけど。

「ニンゲン、変な汗を滝のように流してますが大丈夫ですか?」

大丈夫なわけないでしょう。

「ニンゲンさん、私のこと嫌いですか?今後、声変えますか?」

メッタメタなことを言うのやめてもらって良いですか!?

「ボクはあんのさんの声が良いですー、かわいいですー」

悪魔、露骨に媚びるんじゃない!

「あの、次元の壁を越えていただいて大変恐縮なのですが、こっちに来て大丈夫ですか?帰れます?」

「良いんじゃないですか?どうせ長峰さんの気まぐれですから」

なぁに?今日冷や汗止まらないんですけど?

「ニンゲン、今日は400回なのですー。正確にはもう通り過ぎてますが、作者が忘れていたそうですー」

もう、今回はなるようになれとしか言えんわ。

「では、私はそろそろ帰りますね」

「もう帰るのですか?まだ早いのですー」

「今日はカラオケ楽しかったですし。また歌いましょ」

「行くですー!」

「ニンゲンさんも、機会があれば」

……あるのかなぁ、次元の壁。


ウチからとある人が帰った。

「これからもよろしく、だそうです」

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