悪魔がウチにおりまして・397
ウチにはゲームがある。
タイトルは「アクマクエスト」と書かれているゲームが。
「悪魔ー?これなーに?」
「すごいでしょう?作りました!」
お、おう。
アレ?でも少し前に同じタイトルのVRゲームなかったっけ?
「別にあっちに著作権は無いのでー」
まさに!悪魔の所業!
「そーゆーいかがわしいことばかりしてると地獄に落ちるわよ?」
「閻魔さんに会えるです?」
ふっと頭に腰の軽い閻魔とお歯黒の顔が浮かぶ。
いかん、毒されている。
「そんなことよりニンゲン!やってみて欲しいですー!」
はいはい、自分で作った物は他人にやって感想欲しいもんね。
ゲームを起動すると電子音が流れ「あくまくえすと」とタイトルが上から降りてくる。
ひらがななんかい。
『キャラクターを選ぶデビっ!』
スタートボタンを押すとミニキャラがカーソルをもっている。
カーソル先に居るのは悪魔と狐、クモと……。
「なんで私が居るんだよ」
どう見ても私にしか見えないキャラを見つけて悪魔のほっぺをつねる。
「ニンゲン違いデビっ!」
デビじゃないんだわ。
せっかくなので自分を使おうとカーソルを動かそうとする。
……あれ?
カーソルが動かない。
「悪魔、動かないよ?」
「……まだボクしか使えないのです」
そうかー、まだ途中かー。
それなら仕方ない、悪魔を使って進めましょ。
悪魔を選ぶとどうやらこれは横スクロールゲームみたい。
右に進んでいくと羊がとことこ歩いてくる。
「それ!ジャンプで踏むですー!」
踏まれた羊はそのまま昇天していく。
いいのかなぁ。
谷間を越えて山を越え、ボスにたどり着く。
予想通り牛だった。
「ニンゲン!ファイヤーを!」
悪魔の指示でファイヤーボタンを押す。
画面右半分を埋める大出力放射。
加減んん!
焼かれた牛は哀れ、カルビになってミニ悪魔が食べている。
「今はここまでです!ニンゲン!面白いですか!」
「……バランスじゃない?」
率直な感想はナイフだったようだ。
あくまくえすとはそっとクローゼットに……行かなかった。
「羊さん!ゲームを作ったです!」
……シバかれないようにね。




