悪魔がウチにおりまして・396
ウチには大きなカタツムリがある。
もうそんな季節ですか。
昨年からウチには巨大な寒くなると大きなカタツムリが発生するのです。
しかも!このカタツムリは喋るのです!
「ニンゲン、テンション高くて気持ち悪いです」
デカいカタツムリの中からにゅっと顔を出してくる悪魔。
そうです、アクマイマイ再び登場です。
「ニンゲン、寒いです、ありえねっす」
べらんめい口調の悪魔がそのままカタツムリ型寝袋の中に潜っていった。
悪魔は寒さに弱い。
それはめっぽう弱い。
暑さ、寒さに弱いのは個人差だし、そのことに文句はない。
「悪魔ー。引きこもってないで出てきなさい。掃除機かけられないでしょー」
問題はデーンと置かれたカタツムリが部屋にあるせいで邪魔でしかないということだ。
「ニンゲン、掃除なんて1週間しなくても死にません。作者はその昔、5年以上掃除機をかけなかったと」
恥を拡散するんじゃないよ、泣く声が聞こえるじゃない。
「一応狐ちゃんから借りてる部屋なんだから、キレイにしておかないと」
「そのごんちゃんも住んでいます。大丈夫です」
何をもって大丈夫なのか。
しかし悪魔はそれきりカタツムリの中に引っ込んでしまった。
どうしたものか。
なんとなく、カタツムリの手前にニボシを2、3匹蒔いてみる。
……カタツムリが左右に揺れる。
手が出てきた。
中から手が伸びてきてニボシを取り込んでいく。
面白くなって、今度はピーナツを数粒落としてみる。
カタツムリが跳ねる。
なんで跳ねられるのか。
ピーナツの場所に殻ごと飛び乗ると嬉しそうに揺れている。
中から取り出したスケッチブックに「もっと」と書かれている。
「出てきなさい」
『えー?』
くぐもった文句が聞こえてくる。
イラっとしたので紐でカタツムリの口を縛ってガムテープで固定してみた。
あ、露骨に焦ってる。
カタツムリから汗の幻影が見える。
今日はしつけも含めて放っておきましょう。
「ただいま帰りまちた。……おや?ミミ殿は?」
「タスケテ」とスケッチブックの乗ったカタツムリを指さす。
狐は大仰に頷く。
「なるほど、ちつけですか。ちかしニンゲン殿」
「なぁに?」
「最近某がオチ担当になっていて遺憾です」
そういうこと言わないの。
また作者泣いてるから。




