悪魔がウチにおりまして・391
ウチには悪魔がいる。
食い意地の張っている悪魔が。
「ニンゲン!タロウラーメンが食べたいのです!」
タロウ?……あぁ、次郎ラーメンか。
「却下です」
「ニンゲン、早いのです~」
悪魔は首をふりふり、イヤイヤの構え。
外から見たら可愛いんだろうが、コイツの性格を知っているとなぁ。
「なぜですか、ニンゲン!ラーメン好きでしょう!?」
待て。ラーメン好きと言ったこと無いよね?
「だって次郎って重いじゃない、近くに無いし」
軽く調べたら電車で駅ふたつ。
ラーメン食べに電車?無いでしょ。
「電車代、無いですか?出しますか?」
コイツに向けられる目に殺意を覚えたのは初めて……でもないか。
「電車賃くらいあります」
お昼に脂物なんか食べたら夜食べられなくなっちゃうでしょ。
「にーんーげーんー、らーめんー」
足にしがみつくな、鬱陶しい!
「わかった、わかった。行けばいいんでしょ?」
「やったー!いざ、三郎ラーメンへ!」
コイツ、わざと間違えてない?
「お次2名様ー」
電車に揺られて10分、行列を1時間。
しんどい待ち時間も終わって、やっと席に着けた。
「最初食券からお願いしまーす」
「ニンゲン、何盛りにします?大盛り?」
食えないって言ってるでしょ。
私は無難に券売機でミニラーメンのボタンを押す。
「ボクは特盛りっと」
途端、振り向く目線いくつか。
そりゃそうか、地雷子ちゃんが特盛りいくならびっくりするよね。
「お好みありますか?」
「普通で」
「メンカタアブラヤサイニンニクマシマシ、カラミチョイマシ」
悪魔が呪文唱えた!?
「……お客さま、結構多いので普通がお勧めです」
どれくらいの量かわからないけど、大丈夫じゃない?悪魔だし。
「平気ですー!あ、アジコイメもお願いします!」
店員さん、ため息を吐きながら食券を受け取った。
まず来たのはミニラーメン。この時点で普通のラーメンレベルなんだけど。
「特盛りですー」
出てきたのは、すり鉢に山盛りの野菜。麺はどこ?
「いただきまーす」
悪魔は、野菜の山に突撃し、すり鉢から麺を発掘するのだった。
5分後。
「ごちそうさまでしたー」
私より早いの、どういうこと?
「ニンゲン、デザート何にします?」
いらんわ。




