悪魔がウチにおりまして・388
ウチには悪魔がいる。
キッチンで何かを揚げている悪魔が。
「悪魔ー。火出してない?」
「ニンゲン、信頼無さすぎません?」
今までの悪魔の所業を考えると平気でこのビル全焼させるくらいするでしょうよ。
実際さっきから何を揚げているのか知らないし。
「おイモですー」
「ボクが育てました」
出たな、モグラ。
「今回、ポテトチップ専用のおイモ『混染』を開発したのでミミちゃんに試してもらってます」
私、コンソメ味よりのり塩が好きなんだけど。
「シャラップです。別に味を限定したつもりはありません」
「某、ぶらっくぺっぱー味が」
「ごんちゃん、西洋にかぶれてはいけません」
そのツッコミは正しいのか?
「ぽんちゃーん、どれくらい揚げれば良いですかー?」
「ミミちゃんがどれくらいの厚さで切ったかによると思います」
正しい!
「15ミリですー」
「あの阿呆を殴る武器をボクにください」
気持ちはわからないでもない。
15ミリってほとんどフライドポテトなんだよね。
「某はほくほくのぽてとは好きですよ」
狐、今話しているのはそこじゃないのよ。
「苦節3か月……。こちらの世界にあったポテトチップが楽しめるように丹精込めて生み出した『混染』……。それを、ただのフラポに貶めた罪、万死に値する!」
モグラ、キャラ崩壊はやめなさい。
「ええい、止めるな皆の衆!我は!我の苦労は!あのような虚けのために水泡に帰すなどとは在ってはならぬ、ならぬのだ!」
「狐ちゃん、モグってこんなキャラ?」
「違うと思うんですけど。ぽんちゃん落ち着きなさい」
狐はモグラの首に手刀を叩き込む。
お前が落ち着け!?
モグラは「みゅっ」とうめき声をあげた後に沈んでいった。
「ポテト揚がりましたー」
諸悪の根源が微笑みながらポテトフライを……アレ?
「ポテトチップとコロッケ、フライドポテトにハッシュドポテトですー」
コイツ、友だちの話を聞かないのか?
「直れ!そこの悪魔よ!我が冥府の鎌の切れ味、彼奴の身で……」
モグラ、武人覚醒。
「ぽんちゃんにはまずコロッケをー」
地雷を踏みに行く悪魔!やっぱりアホだ!
「……これは何ですか?」
「コロッケ、食べたことないですよね?」
モグラが宙に浮いている。
「これからコロッケ専用おイモ『黒卦斗』を開発せねば」
勝手にやってくれ。




